建設業界の業務効率化が推進されるなか、Excelを活用したDXに成功する企業が増えています。事実、建設業では2024年問題で課題となった現場労働以外にも、事務作業の負担も大きいのが現状です。
そのため、これまで手作業だった工事台帳や見積書作成などの事務作業をExcelでデジタル化するだけで、一気に効率化が進むケースも少なくありません。
そこで本記事では、建設業向けのExcel活用の秘訣として、
などを網羅して解説します。
末尾には多くの建設業のDX化に貢献したEXCEL女子が監修する『建設企業が知らないと損するExcel活用法と業務効率化の秘訣』のダウンロードもご案内しますので、ぜひ参考になさってください。
建設業の残業削減方法として、日々の事務作業の負担軽減が注目されています。
これまでアナログ作業だった書類作成やデータ管理をExcelで半自動化することで、作業時間短縮やミスの予防、正確性向上にもつながるのです。
まずは具体的にExcelで何ができるのか、建設業に特化した具体的な活用方法をみていきましょう。
工事台帳は、各案件の工事内容や進捗状況を管理する台帳です。
実は高額な管理システムを導入しなくても、Excelを活用すれば契約情報や入金・回収状況、原価管理などを簡単に一元管理できます。
Excelには計算機能があるため、見積書や請求書の面倒な金額入力や税率計算も自動化でき、ミスなくスピーディーに書類を作成することができます。
関数を使って単価と数量を掛け合わせたり、消費税や割引率を自動計算したりすることで、これまで手作業だった書類作業の負担を減らせるでしょう。
工事のスケジュールを管理するために、Excelのガントチャートが役立ちます。
ガントチャートは横向きの棒グラフのような見た目で、Excelの関数や条件付き書式を活用して、現場作業や担当者、進捗率などがひと目で把握できるようにした表のことです。
タスクごとに工期の管理がしやすく、進捗の遅れもパッと見て把握できるため、遅延リスクの高い大規模プロジェクトなどにも効果があります。
Excelで在庫管理表を作成することで、各材料の在庫数や発注状況を視覚的に把握できるようになります。
在庫数が一定以下になったらアラートを出す機能も設定できるため、材料不足や過剰発注の予防になり、管理の手間や不良在庫のコストカットにも効果的です。
現場作業員の勤怠管理や作業記録の整理にも、Excelが便利です。
作業時間の合計や残業時間を自動計算できるためミスがなく、クラウドと連携すれば現場とオフィス間でリアルタイムの勤怠情報の共有もできるようになります。
建設業でExcelを効率よく活用するためには、便利な機能や操作方法のコツを知っておくことが大切です。
この章では、すぐに実践できるExcelテクニックを詳しく解説していますので、ぜひ今日からご活用ください。
Excelには、作業を効率化するためのショートカットキーが多数用意されています。
そのほかにも、ALT+H+O+I（列の幅を自動調整）などの便利なショートカットも多数あるため、業務につながるものから優先して覚えていきましょう。
請求書や各種伝票などの帳票をExcelで作成する場合は「どこになにを入力するか」がすぐにわかるよう、セルに色をつけておくと時短になります。
例えばデータ入力が必要な部分は薄いグレーにしておくなど、迷わず操作できるような工夫をしておくとよいでしょう。
入力ミスを防ぐために、Excelのデータ入力規則を設定しておきましょう。
たとえば、セルに数値のみを入力できるよう設定したり、日付の範囲を制限したりすることで、誤入力を防ぐことができます。
データ入力の統一を図るためには、プルダウンメニューを活用するのが効果的です。
たとえば、作業員の名前などは手入力だと「田中」「たなか」「タナカ」など、人によって表記が異なる可能性があります。
しかし作業員名や工事の種類をリストに設定することで、誰でもワンクリックで統一されたデータを入力できるようになるのです。
ExcelのマクロやVBAなどを活用すれば、建設業の負担になりがちな原価管理やデータ集計などの事務作業を自動化できます。
やや高度なテクニックにはなりますが、作業スピードや精度が飛躍的に向上するため、ぜひ挑戦してみましょう。
まずはこれまで使用していたExcelのテンプレートにマクロや関数を組み込み、業務に合わせて自動入力できるセルを増やすことで、事務作業の時短を進めましょう。
例えば、取引先の電話番号や住所などの基本情報を「取引先の社名」を入れるだけで自動入力されるよう設定するだけでも、毎回の入力作業を大幅に削減できます。
建設業における原価管理は、コストの適正化に不可欠です。
まず、資材費や人件費、外注費などのデータを一元管理するシートを作成し、SUMIFS関数やVLOOKUP関数を用いて、各工事ごとの原価を自動集計できるようにします。
VBAを活用し発注書や支払い明細を入力するだけでリアルタイムに予算との差額を計算し、異常値があればアラートを表示する仕組みを構築しても便利です。
Excelのマクロ機能とは、繰り返し作業を自動化できるプログラムのことです。
例えば、建設業では、毎日のデータ入力や集計作業、作業報告書の作成や進捗管理表の更新などのルーチンワークに時間がかかることがあります。
しかしマクロを活用し、定型の入力作業をExcelに記憶させてしまうだけでワンクリックで書類を完成させることができ、作業時間の大幅な削減につながるでしょう。
もし「書類作成の自動化に興味はあるが、やり方がわからない」「人手が足りず今からExcelの勉強は難しい」という方は、ぜひEXCEL女子までご相談ください。
建設業界における生産性向上の秘訣を、ExcelのプロであるEXCEL女子が解説します。
Excelを活用した業務効率化を進めると、ファイルの増加による混乱やデータ共有の遅れといった課題に直面することがあります。
せっかくExcelを導入しても現場の社員が扱いづらいと「やっぱり紙のほうが楽」「手入力の方が良い」と反発が起き、もとの業務フローに戻ってしまうケースも少なくありません。
そこで、ここでは建設業でExcelを効果的に活用するための注意点をまとめました。
まずはExcelファイルの保存場所を統一し、データの分散や紛失を防ぐことが大切です。
社内サーバーやクラウドストレージを活用し、整理整頓を行いましょう。
まず、Excelファイルがうまく探せない、見つからない、という課題には、ファイル名の記載方法を統一することが大切です。
たとえば、「案件名_日付_バージョン.xlsx」というルールで統一すれば、ファイルの検索性も上がるうえ、更新履歴も明確に管理できます。
Excelファイルは頻繁に更新されるため、適切なバージョン管理が欠かせません。
ある程度であればExcelファイルの命名ルールに「V1」「V2」などと記載して管理できますが、手作業での管理には限界があります。
そのため、クラウドサービス（OneDrive、Google Drive）などを活用し、ファイルの変更履歴の自動保存や、過去のデータを復元できるよう対策をしておくことが大切です。
また、自社のExcelファイルには、様々な機密情報や個人情報が含まれます。
近年では情報漏洩のリスクも高まっているため、重要なデータを適切に管理するためにもExcelファイルのアクセス権限を設定しておきましょう。
例えば「閲覧のみ許可」や「特定メンバーのみ編集可」など、権限を制限することで情報の改ざんはもちろん、入力ミスや誤操作の予防にもつながります。
建設業務の業務効率化には、Excelを活用した事務作業のIT化が欠かせません。
Excelのショートカットキーによる入力の効率化だけでなく、マクロやVBAなどの自動化機能を使えばルーチンワークを大幅に削減することもできます。
しかし、多くの企業では、Excelの持つ潜在能力を十分に活かしきれていないのが現状です。
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