建築業界における人手不足の深刻化は以前から問題視されていました。しかし近年、建設業界はICTにより大きな転換期を迎えていることをご存知でしょうか。
今回は、建設業界の人手不足の現状や理由、ICTでなぜ人手不足が解消できるのかを詳しくご紹介します。
国土交通省「建設業を巡る現状と課題」によると、業界全体における建設投資は平成24年度に下げ止まり、令和4年には67兆円まで回復しつつあります。
しかしその一方で、建設業界全体の就業者数や業者数は減少し続けており、
と、現状では建設投資が拡大しているにも関わらず、人手や業者が大幅に不足していることがわかります。
事実、日本商工会議所の「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」によると、建設業界の中小企業の82.3%が人手不足であると回答しました。
ある予測では、2025年には建設業界の就業者数が90万人不足するというデータも出ています。ここでは、なぜ建設業界が人手不足に陥っているのか、原因をみていきましょう。
現在、国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、建設業界は
であり、業界全体の深刻な高齢化が進んでいます。
これにより10年以内に150万人以上の職人が退職すると予測されており、単純な人手不足だけでなく、
などの新たな問題も発生しているのが現状です。
人手不足解消のため、建設業界では多くの現場で外国人労働者が活躍しています。
しかし、
により、外国人労働者全体の数が減少傾向です。
政府も特定技能外国人の受け入れなど人材確保を強化し、現在では外国人労働者の受け入れは回復しているものの、まだ業界の人手不足を解消するほどとはいえません。
建設業界は偏見を持たれやすく、
などのマイナスイメージのせいで、若手人材に避けられる傾向があります。
しかし、実際の現場ではICT化が進んでいたり、法改正により時間外労働の上限規制が設けられるなど、ひと昔前と比較して労働環境の改善が進んでいるのも事実です。
なお、この時間外労働を月間45時間、年間360時間とする法改正に伴う諸問題は「2024年問題」と呼ばれています。
建設業界における人手不足解消のための対策は、すでに始まっています。
など、政府主導で建設業界の働き手を増やすため、様々な施策がスタートしました。その中で、生産性向上施策として注目を集めているのが「ICT」の活用です。
ICTはInformation and Communication Technologyの略で、情報処理や通信技術を活用して現場の業務効率化や生産性向上につなげるITシステムのことです。
デジタル技術で設計から管理まであらゆる業務プロセスを効率化・省人化できるため、無駄を省きつつ、少ない人員でも工事需要に対応することができます。
例えば図面をデータ化して職人のスマホに即時共有できるようにしたり、危険な場所をドローンで遠隔監視するだけでも、現場の負担軽減につなげることが可能です。
このICTは国土交通省も推進しており、「i-construction(アイ・コンストラクション)」と呼ばれています。
ここでは、建設業界ですでに導入されているICTの具体例についてみていきましょう。
建設業界では、現場の測量や監視などでドローンが活用されています。
リアルタイムで広範囲を確認できるため、管理者が現場以外の場所からでも的確に指示を出せるなど、人員配置の効率化につながっています。
施工管理アプリとは、建設業界の施工管理に特化した、専門的な業務効率化アプリです。
などのメリットがあり、現場関係者のコミュニケーションが取りやすくなることで、工期の遅れを防ぐことができます。
ロボットを導入することで、建設業界で課題だった肉体的な重労働だけでなく、単純作業や危険な業務を減らすことができます。
例えばすでに現場で活躍しているロボットとして、
などを代行するロボットが有名です。
ICT建機とは、3DデータなどのICT技術を取り入れた、主に土木事業で活躍している重機のことです。
自動制御(マシンコントロール)機能が搭載されているため、誰が操縦しても一定のクオリティで正確に作業ができるというメリットがあります。
するなど大幅な生産性向上を達成しました。
次に、ICTを取り入れるメリットをみていきましょう。
ICTを導入すると、現場全体の生産性が向上し、限られた人員でも建設需要に対応できるようになります。具体的には、
など、様々なメリットがあります。
ICT活用が進むと、現場で働く社員の労働環境改善にもつながります。
など、ひと昔前の建設業界の「きつい・きたない・危険」というイメージはかなり払拭されています。
建設業界の高齢化により、技術継承できないまま熟練職人が退職していくことが問題になっています。
しかし、ICTの導入による業務効率化が叶えば、空いた時間でベテランから若手へ技術指導を行う時間を増やすことが可能です。
また、ベテラン職人が現地にいなくても、施工管理アプリを通じて遠隔地から複数人の若手を指導できるため、より効率的に技術継承を進めることもできます。
最後に、建設業界にICTを導入する際に気をつけるべきポイントを確認しておきましょう。
建設業界はIT化・DX化が進んでいない領域が多いこともあり、急にITシステムを導入しても、それを扱える社員がいなければ現場に定着しない可能性があります。
そのため、ICT導入の失敗を避けるためには、まずデジタルツールを扱えるIT人材の育成・採用が必要です。
近年さまざまなICTツールが登場しており、それぞれ得意分野が異なります。
そのため無計画な導入ではなく、まず自社の課題や解決したい問題を明確にしてから、必要な分野に絞ってツールの導入をすすめていくとよいでしょう。
もしICTの導入が自社だけでは難しい場合、外部の導入支援を行っている企業にアドバイスを求めることも大切です。
建設業界の人手不足を解消するには、ICTの導入が欠かせません。もしICT導入や人手不足解消に悩んだら、株式会社コクーまでご相談ください。
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