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建設業のICT化とは?人手不足解消のための今後の課題と対策を具体的に解説!

作成者: admin_dg|Sep 30, 2024 3:49:17 AM

建築業界における人手不足の深刻化は以前から問題視されていました。しかし近年、建設業界はICTにより大きな転換期を迎えていることをご存知でしょうか。

今回は、建設業界の人手不足の現状や理由、ICTでなぜ人手不足が解消できるのかを詳しくご紹介します。

建設業界の人手不足の現状

国土交通省「建設業を巡る現状と課題」によると、業界全体における建設投資は平成24年度に下げ止まり、令和4年には67兆円まで回復しつつあります。

しかしその一方で、建設業界全体の就業者数や業者数は減少し続けており、

  • 建設業就業者数はピーク時685万人(平成9年)
    479万人(令和4年)30%減
  • 建設業者数はピーク時約60万業者(平成11年)
    約48万業者(令和3年)21%減

と、現状では建設投資が拡大しているにも関わらず、人手や業者が大幅に不足していることがわかります。

事実、日本商工会議所の「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」によると、建設業界の中小企業の82.3%が人手不足であると回答しました。

建設業界はなぜ人手不足なのか

ある予測では、2025年には建設業界の就業者数が90万人不足するというデータも出ています。ここでは、なぜ建設業界が人手不足に陥っているのか、原因をみていきましょう。

建設業界全体の高齢化

現在、国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、建設業界は

  • 引退が近い55歳以上の労働者35.9%
  • 若年層である29歳以下の労働者11.7%

であり、業界全体の深刻な高齢化が進んでいます。

これにより10年以内に150万人以上の職人が退職すると予測されており、単純な人手不足だけでなく、

  • 熟練職人が引退するため技術継承できず若手が育たない
  • 事業継承できる若者がおらず廃業するしかない

などの新たな問題も発生しているのが現状です。

外国人労働者の減少

人手不足解消のため、建設業界では多くの現場で外国人労働者が活躍しています。

しかし、

  • 近年の感染症拡大による入国規制
  • 円安による実質賃金の減少

により、外国人労働者全体の数が減少傾向です。

政府も特定技能外国人の受け入れなど人材確保を強化し、現在では外国人労働者の受け入れは回復しているものの、まだ業界の人手不足を解消するほどとはいえません。

若手人材の確保が難しい

建設業界は偏見を持たれやすく、

  • 危険な肉体労働
  • 安月給
  • 残業が多い
  • 長時間労働
  • 休みがない

などのマイナスイメージのせいで、若手人材に避けられる傾向があります。

しかし、実際の現場ではICT化が進んでいたり、法改正により時間外労働の上限規制が設けられるなど、ひと昔前と比較して労働環境の改善が進んでいるのも事実です。

なお、この時間外労働を月間45時間、年間360時間とする法改正に伴う諸問題は「2024年問題」と呼ばれています。

建設業界の人手不足対策はICTがカギ!

建設業界における人手不足解消のための対策は、すでに始まっています。

  • 建設業界のイメージアップ
  • 労働環境改善や給与アップ
  • 女性の雇用機会を増やす
  • 特定技能外国人の受け入れ

など、政府主導で建設業界の働き手を増やすため、様々な施策がスタートしました。その中で、生産性向上施策として注目を集めているのが「ICT」の活用です。

ICT(情報通信技術)とは

ICTはInformation and Communication Technologyの略で、情報処理や通信技術を活用して現場の業務効率化や生産性向上につなげるITシステムのことです。

デジタル技術で設計から管理まであらゆる業務プロセスを効率化・省人化できるため、無駄を省きつつ、少ない人員でも工事需要に対応することができます。

例えば図面をデータ化して職人のスマホに即時共有できるようにしたり、危険な場所をドローンで遠隔監視するだけでも、現場の負担軽減につなげることが可能です。

このICTは国土交通省も推進しており、「i-construction(アイ・コンストラクション)」と呼ばれています。

建設業界におけるICTの活用例

ここでは、建設業界ですでに導入されているICTの具体例についてみていきましょう。

ドローンによる測量や監視

建設業界では、現場の測量や監視などでドローンが活用されています。

リアルタイムで広範囲を確認できるため、管理者が現場以外の場所からでも的確に指示を出せるなど、人員配置の効率化につながっています。

施工管理アプリの導入

施工管理アプリとは、建設業界の施工管理に特化した、専門的な業務効率化アプリです。

  • スマホやタブレットで見ることができる
  • 図面や現場写真、工程表などをクラウドで一元管理できる
  • いつでもどこでもリアルタイム情報を確認可能
  • 遠隔臨場やオンライン会議ができ、情報共有がスムーズ

などのメリットがあり、現場関係者のコミュニケーションが取りやすくなることで、工期の遅れを防ぐことができます。

ロボットの活用

ロボットを導入することで、建設業界で課題だった肉体的な重労働だけでなく、単純作業や危険な業務を減らすことができます。

例えばすでに現場で活躍しているロボットとして、

  • 資材搬入
  • 鉄筋結束
  • コンクリート養生

などを代行するロボットが有名です。

ICT建機の導入

ICT建機とは、3DデータなどのICT技術を取り入れた、主に土木事業で活躍している重機のことです。

自動制御(マシンコントロール)機能が搭載されているため、誰が操縦しても一定のクオリティで正確に作業ができるというメリットがあります。

住友建機株式会社が行った実験

  • ICT建機の活用により施工時間約43%短縮
  • 人員約67%削減に成功

するなど大幅な生産性向上を達成しました。

建設業界にICTを取り入れるメリット

次に、ICTを取り入れるメリットをみていきましょう。

生産性向上

ICTを導入すると、現場全体の生産性が向上し、限られた人員でも建設需要に対応できるようになります。具体的には、

  • 人的ミスの削減
  • 作業効率アップ
  • 施工品質の向上
  • 工期短縮やコスト削減

など、様々なメリットがあります。

働き方改革が進む

ICT活用が進むと、現場で働く社員の労働環境改善にもつながります。

  • 遠隔臨場による常駐管理者の削減
  • ICT建機による工期短縮・省人化
  • ロボットによる肉体労働代行や危険作業削減
  • 施工データのクラウド化による管理負担軽減

など、ひと昔前の建設業界の「きつい・きたない・危険」というイメージはかなり払拭されています。

技術継承がスムーズになる

建設業界の高齢化により、技術継承できないまま熟練職人が退職していくことが問題になっています。

しかし、ICTの導入による業務効率化が叶えば、空いた時間でベテランから若手へ技術指導を行う時間を増やすことが可能です。

また、ベテラン職人が現地にいなくても、施工管理アプリを通じて遠隔地から複数人の若手を指導できるため、より効率的に技術継承を進めることもできます。

建設業界にICTを取り入れる注意点

最後に、建設業界にICTを導入する際に気をつけるべきポイントを確認しておきましょう。

ICTを扱うIT人材の確保

建設業界はIT化・DX化が進んでいない領域が多いこともあり、急にITシステムを導入しても、それを扱える社員がいなければ現場に定着しない可能性があります。

そのため、ICT導入の失敗を避けるためには、まずデジタルツールを扱えるIT人材の育成・採用が必要です。

自社課題に合ったICTツールを選定する

近年さまざまなICTツールが登場しており、それぞれ得意分野が異なります。

そのため無計画な導入ではなく、まず自社の課題や解決したい問題を明確にしてから、必要な分野に絞ってツールの導入をすすめていくとよいでしょう。

もしICTの導入が自社だけでは難しい場合、外部の導入支援を行っている企業にアドバイスを求めることも大切です。

ICTを使って建設業界の人手不足を解消しよう!

建設業界の人手不足を解消するには、ICTの導入が欠かせません。もしICT導入や人手不足解消に悩んだら、株式会社コクーまでご相談ください。

コクーでは大手ゼネコンとの連携により、建築業界の業務効率化ノウハウを多数蓄積しています。

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