製造業のお客様では、図面ごとに作業を進めるなかで、現在どこまで作業が進んでいるのか、誰が担当しているのかを簡単に確認できないという課題がありました。既存のkintoneアプリには作業時間を集計する機能があったものの、集計結果が秒数で表示されるほか、項目や操作が複雑で、現場で日常的に活用するには負担が大きい状態でした。
本プロジェクトを担当したコクー社員は、既存アプリをそのまま拡張するのではなく、実際に必要な情報と不要な項目をお客様と一つずつ整理。
図面ごとの進捗や担当状況を確認しやすくするとともに、入力する作業者が「面倒」と感じにくいシンプルな設計を目指しました。
本記事では、現場との対話を重ねながら要件を整理した過程や、kintoneの標準機能では実現できない要望に対応した工夫、支援を通じて得た学びについて紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 製造業 |
| 支援期間 | 1〜3カ月 |
| 仕様ツール | kintone、Excel |
| 体制 | PM、メンバー |
| 担当範囲 | 現状ヒアリング、業務棚卸し、要件整理、設計、実装・構築、移行、テスト、運用設計、改善提案 |
| 支援形態 | 請負 |
お客様が抱えていた課題の一つは、図面ごとの作業進捗や現在の担当者を把握しづらいことでした。
製造現場では複数の図面に関する作業が同時に進みます。そのため、「どの図面の作業が、現在どの段階にあるのか」「今は誰が担当しているのか」をすぐに確認できることが、進捗管理や業務調整のうえで重要です。しかし、当時の仕組みでは必要な情報を一覧で確認しにくく、状況を把握するまでに手間がかかっていました。
また、既存のクロス集計表では作業時間が秒数で表示されており、現場の担当者が感覚的に理解しづらい状態でした。操作方法も複雑で、情報を確認するために複数の手順が必要となるなど、日常業務のなかで活用し続けるには負担がありました。
お客様が目指していたのは、単に画面を見やすくすることではありません。作業時間を集計し、将来的に原価計算へ活用できる状態をつくることが大きな目的でした。そのためには、正確なデータを蓄積できることに加え、現場の作業者が無理なく入力を続けられる仕組みが必要でした。
支援にあたって重視したのは、既存アプリに機能を追加していく前に、現場で本当に必要とされている情報を明確にすることでした。
まずは、お客様へのヒアリングを通じて、現在の業務手順やデータの使われ方を整理しました。図面ごとに確認したい情報、作業者が入力する内容、管理側が集計や原価計算に活用したいデータを切り分け、アプリに残す項目と削除する項目を一つずつ検討しました。
既存の仕組みを大きく変える場合、機能を増やすことに目が向きがちです。しかし、入力項目が多すぎると、現場の作業者にとっては負担が増えます。入力が続かなければデータが蓄積されず、進捗管理や原価計算にも活用できません。
そこで本プロジェクトでは、「入力する人が面倒だと感じないか」という視点を設計の基準にしました。
実際の作業に必要のない項目を整理し、図面ごとの進捗や担当者をリスト形式で確認できるよう、画面やデータ構造をシンプルに整えていきました。
一方的に完成形を決めて開発を進めるのではなく、お客様と相談しながら段階的に形にしていったことも特徴です。
お客様の要望をそのまま機能へ置き換えるのではなく、その要望が生まれた背景や、実際に情報を確認する場面まで掘り下げました。
そのうえで、「この項目は本当に毎回入力する必要があるのか」「一覧画面では何を最初に確認したいのか」といった点をすり合わせ、現場の業務に合った設計へ調整しました。
プロジェクトを進めるなかで課題となったのが、kintoneの標準機能だけでは、お客様の要望をすべて実現することが難しかった点です。
標準機能の範囲内で設計を変更する方法も検討しましたが、必要な情報の表示方法や操作性を考えると、現場にとって十分に使いやすい状態には届かない可能性がありました。
そこで支援メンバーは、実現できない理由を並べるのではなく、別の方法で要望をかなえられないかを検討。プラグインを活用する方法を提案し、必要な機能を補うことで課題を解決しました。
重要だったのは、プラグインを導入すること自体を目的にしなかったことです。どの部分を標準機能で構築し、どの部分をプラグインで補うのかを整理しながら、お客様にとって過度に複雑な仕組みにならないよう調整しました。
完成した仕組みに対して、お客様からは「非常に助かります」と喜びの言葉をいただきました。目の前の要望に対応するだけでなく、実際の業務で使いやすい形を一緒に考えてきた過程が評価され、追加のご依頼にもつながりました。
今回の支援により、これまで把握しづらかった図面ごとの作業進捗や担当状況を確認しやすくなりました。
必要な情報をリスト形式で確認できるようにしたことで、複雑な集計表を操作しながら状況を探す負担が軽減されています。また、既存アプリの不要な項目を整理したことで、現場の作業者が入力する内容も分かりやすくなりました。
作業時間を蓄積し、原価計算に活用するための土台も整いました。入力や確認の負担を抑えながら必要なデータを蓄積できるため、継続的な業務改善につなげやすい仕組みとなっています。
さらに、ヒアリングや要件整理を丁寧に行ったことで、お客様自身も、必要な情報や改善すべき点を整理できるようになりました。単にアプリを改修するだけでなく、業務の課題を明確にし、関係者を巻き込みながら改善を進められたことも、今回の支援によって生まれた変化です。
今回のプロジェクトを通して改めて明確になったのは、システムを導入するだけでは、業務改善は定着しないということです。
どれほど多くの機能を備えていても、現場の作業者が入力を負担に感じれば、次第に使われなくなってしまいます。
特に、作業時間や進捗を蓄積する仕組みでは、一度の入力漏れがデータの正確性にも影響します。
そのため、改善の第一歩は、現場の作業者が迷わず、無理なく使える設計にすることです。
最初から多くの機能を詰め込むのではなく、必要な情報を見極め、不要な項目を整理することが、結果として継続的な活用につながります。
また、お客様と対話しながらシステムをつくることの重要性も実感しました。
開発側だけで完成形を決めるのではなく、実際に使う人の意見を確認しながら調整することで、業務に合った仕組みへ近づけることができます。
今回の経験で得た、現場の作業とデータ活用の両方を捉える視点を、今後の業務改善支援にも生かしていきます。
業務の見える化を実現するためには、管理者が確認したい情報だけでなく、現場の作業者がどのように入力するのかまで考える必要があります。今後も、業務整理や要件定義の段階からお客様と認識を合わせ、実際の運用に無理なく定着する仕組みづくりを支援していきます。
また、標準機能だけでは実現が難しい場合にも、プラグインや他の手段を含めて方法を検討し、お客様の状況に合った改善策を提案していくことを大切にします。
コクーでは、企業の業務改善やDX推進を支援しています。
特定のツールを導入することから始めるのではなく、まずは現場の業務手順や困りごとを確認し、課題を整理することから支援を進めます。
業務の可視化や要件整理、設計、構築、テスト、運用設計、定着後の改善まで、状況に応じた支援が可能です。
ExcelやVBA、RPA、Power Platform、BI、kintone、CELF、AIなど、幅広い技術やツールを活用しながら、お客様の業務に合った方法を一緒に検討します。
機能の多さだけを追求するのではなく、実際に使う方が迷わず、継続して活用できることを重視しています。業務の進め方やデータ管理に課題を感じているものの、何から見直せばよいか分からない場合も、現状の整理からご相談いただけます。
現場で使えるkintone(キントーン)進捗管理へ改善
| 改善前の課題 | 支援内容 | 改善後の状態 |
|---|---|---|
| 図面ごとの進捗が見えづらい | 表示項目を整理 | 進捗を一覧で確認しやすく |
| 現在の担当者が分かりづらい | リスト表示を見直し | 担当者をすぐに把握できる |
| 集計表が秒数表示で分かりにくい | 集計方法・見せ方を改善 | 作業時間を原価計算に活用しやすく |
| 既存アプリに不要項目が多い | 不要項目を整理 | 現場が入力しやすい設計に |
進捗状況を把握しにくい、入力項目が多く現場で活用されていないなど、現在の仕組みに課題はありませんか。コクーでは、業務手順や利用状況を確認し、必要な情報の整理から設計、構築、運用定着まで支援します。課題がまだ明確になっていない段階でもご相談いただけます。