製造業のお客様では、基幹システムの変更に伴い、それまで業務を支えてきた帳票や集計表、マスタ管理などの周辺ツールも新たに整備する必要がありました。しかし、旧システムでは利用者が状況に応じて手動で内容を調整できる部分が多く、すべての機能をそのまま新しい環境へ置き換えることは容易ではありません。
本プロジェクトを担当したコクー社員は、現行業務の操作感をできる限り維持しながら、今後のデータ管理や運用も見据えたCELFの補助ツール開発を担当しています。実現が難しい要望に対して単に「できない」と回答するのではなく、システム上の制約を整理し、実現可能な範囲と代替案を提示することを重視しました。
本記事では、複雑な現行業務をどのように整理したのか、帳票の再現とデータ活用をどのように両立しようとしているのか、支援担当者が設計や提案で大切にしている考え方を紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 製造業 |
| 支援期間 | 1〜3カ月 |
| 仕様ツール | CELF、Excel |
| 担当範囲 | 帳票、集計、マスタ管理、レポートに関する補助ツール開発 |
| 支援形態 | 請負 |
今回のお客様では、基幹システムの変更に合わせて、周辺で使用していた補助ツールも新たに作り直す必要がありました。対象となったのは、日々の業務で使用する帳票をはじめ、データの集計、マスタ管理、レポート作成など、基幹システムの情報を実務へつなぐためのツールです。
大きな難しさは、現行の業務内容と旧システムの仕様が複雑だったことです。旧システムでは、利用者が必要に応じてデータを手動で反映したり、表示内容を調整したりできる仕組みが多く使われていました。そのため、画面や帳票の見た目を再現するだけでは、実際の業務で必要とされる操作まで置き換えられない可能性がありました。
また、現行業務には明文化されていない判断や運用ルールも含まれていました。新しい補助ツールを安定して稼働させるためには、単に旧システムの機能を移植するのではなく、「どのデータを、誰が、どのタイミングで更新するのか」を改めて整理する必要がありました。
業務を止めずにシステムを切り替えるためにも、これまでの使いやすさをできる限り残しながら、新しい環境に適したデータ管理方法へ移行することが求められていました。
支援の初期段階では、まず現行の帳票や操作手順を確認し、どの機能が日常業務で使われているのかを整理しました。画面上に存在する項目をそのまま並べるのではなく、各項目がどの業務で使われ、どのデータと関係しているのかを捉えることを重視しています。
設計では、利用者が新しいツールへ移行した際に戸惑わないよう、なるべく現行仕様に近い操作感やレイアウトを維持することを意識しました。一方で、見た目を完全に再現することだけを優先すると、データの蓄積や更新が複雑になり、今後の運用負担が増える可能性があります。
そこで、現行の帳票を再現しながらも、入力された情報をできる限りデータとして管理・蓄積しやすい仕様を検討しました。帳票としての使いやすさと、データベースとしての扱いやすさを両立させることが、今回の設計における重要なポイントです。
また、CELFと旧システムでは機能や仕組みが異なるため、すべての操作を同じ形で置き換えられるわけではありません。特に、利用者が自由に手動反映できた機能については、CELF上で同様の動きを再現できないケースもありました。
そのような場合、支援担当者は制約だけを伝えるのではなく、実現できる範囲を整理したうえで、代わりとなる操作方法や仕様を提示しています。「同じ機能を再現できるか」だけで判断するのではなく、お客様がその機能を使って何を実現したいのかまで確認し、目的を満たせる別の方法を探りました。
開発後の安定稼働も見据え、データの持ち方や更新方法、運用時のルールについても検討しています。完成したツールを引き渡して終わるのではなく、利用者が継続して使用でき、データが正しく蓄積されていく状態をつくることを大切にしています。
本プロジェクトで特に印象的だったのは、旧システムの手動操作をCELFへ置き換える過程です。
現行業務では、利用者が状況に応じてデータを手動で反映できる仕組みが複数使われていました。しかし、CELFでは同じ操作をそのまま再現できない部分があり、当初想定していた仕様では対応が難しいケースが明らかになりました。
このとき支援担当者が意識したのは、技術的な制約だけを理由に要望を切り離さないことでした。まず、なぜその手動操作が必要なのか、どのような場面で使われているのかを整理。そのうえで、CELFで実現できる限界を明確にし、業務上の目的を満たすための代替案を提示しました。
旧システムと新しいツールでは、できることも操作方法も異なります。だからこそ、表面的な機能の再現に固執するのではなく、業務の目的に立ち返って仕様を考えることが必要です。
案件は現在も進行中ですが、複雑な業務やシステム上の制約を一つずつ整理し、お客様と認識を合わせながら設計を進められていることが、安定稼働に向けた大切な土台となっています。
本プロジェクトは現在進行中のため、工数削減や処理時間の短縮など、最終的な成果はまだ確定していません。一方で、設計・開発を進める過程では、今後の運用につながるいくつかの変化が生まれています。
まず、複雑だった現行業務を確認し、帳票や集計、マスタ管理に必要な機能を整理したことで、補助ツールに求められる要件が明確になりました。これまで利用者の手動操作に支えられていた部分についても、その操作が必要となる背景を整理できています。
また、CELFで実現できる機能と難しい機能を切り分け、代替案を含めて検討したことで、システムの制約を踏まえた現実的な設計を進められるようになりました。
帳票の再現だけでなく、情報をデータとして管理・蓄積しやすい仕様を検討しているため、今後は集計やレポート作成、情報の確認を行いやすくなることが期待されます。
基幹システムの移行後も補助ツールを安定して利用できるよう、開発と並行して運用方法を整理していることも成果の一つです。現時点では、ツールの完成だけを目標とせず、運用定着まで見据えた設計の土台が整いつつあります。
今回の支援を通して改めて確認できたのは、システムの置き換えでは、既存画面や機能をそのまま再現することだけが正解ではないということです。
旧システムで行われていた操作には、それぞれ業務上の理由があります。その背景を理解しないまま新しい環境へ移行すると、画面は似ていても、現場では使いにくいツールになってしまう可能性があります。
一方で、これまでの操作方法をすべて残そうとすると、データ管理や運用が複雑になり、新しいシステムの利点を生かせません。現行業務への理解と、今後の運用を見据えた設計の双方が必要です。
また、技術的に難しい要望に対しても、「できない」で終わらせず、業務の目的を確認して別の方法を探すことの重要性を学びました。制約を分かりやすく伝え、実現可能な選択肢を示すことが、お客様と一緒にプロジェクトを前へ進めることにつながります。
まずは、現在進行している補助ツールを安定して稼働させ、基幹システムの変更後もお客様が無理なく業務を継続できる状態をつくることが目標です。
今後は、帳票や集計機能を再現するだけでなく、蓄積したデータを業務改善や判断に生かせる仕組みづくりにも取り組んでいきます。
また、開発段階で整理した要件や運用ルールを、実際の利用状況に合わせて見直し、現場で使い続けられるツールへ改善していくことも重要です。設計、構築、移行、運用を分けて考えるのではなく、一連の流れとして支援できる範囲を広げていきます。
コクーでは、業務改善やDX推進において、最初から特定のツールありきで支援を進めるのではなく、現場の業務内容や運用状況を理解することから始めています。
課題整理、業務の可視化、要件整理、設計、構築、運用定着まで、状況に応じて一貫した支援が可能です。ExcelやVBA、RPA、Power Platform、BI、kintone、CELF、AIなど、幅広い技術やツールを組み合わせながら、お客様の課題に合う方法を一緒に検討します。
既存システムの変更に伴う周辺ツールの再構築や、複雑な帳票・集計業務の見直しなど、まだ課題を整理しきれていない段階でもご相談いただけます。現在の使いやすさを大切にしながら、今後も無理なく使い続けられる仕組みづくりを支援します。
基幹システム変更に伴う補助ツール開発の進め方
| Before | 支援内容 | After |
|---|---|---|
| 基幹システム変更により、周辺ツールの作り直しが必要 | 帳票・集計・マスタ管理の要件を整理 | 基幹システムを支える補助ツールとして安定運用 |
| 旧システムでは手動反映が多く、運用ルールが複雑 | CELFで実現できる範囲と代替案を整理 | 現場が使いやすく、データ管理しやすい仕様へ |
| 帳票やレポートの再現に課題 | 現行仕様に近いレイアウトを意識して設計・構築 | 工数削減・品質向上・見える化につながる仕組みに |
基幹システムの変更に伴う帳票や集計ツールの再構築では、現行業務の整理が欠かせません。
コクーでは、業務手順や手動操作の背景を確認し、実現可能な仕様や代替案をご提案します。要件が固まっていない段階でもご相談いただけます。