人材派遣を活用するにあたって、受け入れ先の企業には多くの義務や責任が生じます。
「派遣社員の受け入れで何に気を付ければいいかわからない」「自社が負う義務や、責任範囲はどこだろう」「派遣先責任者や指揮命令者の選定とは?」と、頭を悩ませてはいませんか?
そこで今回は、派遣先企業と派遣スタッフの関係や責任範囲、派遣先が対応すべき義務などを詳しく解説します。絶対に知っておきたい内容だけを凝縮してまとめましたので、人材派遣の活用にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
派遣先とは「派遣スタッフが人材派遣企業から紹介をうけて勤務する企業」のことです。
派遣スタッフにとっては直接はたらく職場であり、指揮命令権を持つ相手でもあります。
そのため派遣先は、受け入れるスタッフが現場で働きやすいよう、各種責任者の選定や、職場環境の整備、管理台帳の作成などの義務を負います。
ただし、派遣スタッフは人材派遣会社(派遣元)と雇用契約を結んでいるため、給与の支払いや社会保障などは人材派遣会社の管轄範囲です。
人材派遣には、人材派遣会社(派遣元)・派遣を受ける企業(派遣先)・派遣スタッフ(派遣社員)の3者が関係しています。
派遣先と派遣元は「労働者派遣契約」、派遣スタッフと派遣元は「雇用契約」、派遣スタッフと派遣先は「指揮命令関係」でつながっている仕組みです。
派遣先企業は直接の雇用主ではないものの、派遣スタッフの受け入れにあたり、働きやすさや勤怠管理などさまざまな対応義務・監督責任が生じることを覚えておきましょう。
人材派遣を活用するにあたって、派遣先は単に派遣スタッフを受け入れるだけではありません。
ここではまず、派遣先が管理しなければならない4項目について確申出先」を選出することが義務づけられています。
担当者は派遣先と直接雇用関係にある社員を任命しなければなりません。
ここでは、それぞれの役割や選任方法、注意点を詳しく見ていきましょう。
派遣先責任者とは、派遣社員がスムーズに就業するための管理を行う最終責任者です。
事業所ごと・派遣スタッフ100名につき1名の設置が義務づけられており、派遣法や派遣契約の遵守・徹底、就業環境の整備などの役割があります。派遣先責任者と指揮命令者は兼任可能です。
指揮命令者とは、受け入れた派遣スタッフに実際に業務指示を出したり、労働時間や休憩、残業などを管理する担当者のことです。
労働者派遣法により設置義務があるほか、派遣契約書に指揮命令者の氏名・所属・役職・連絡先などを明記する必要があります。
このとき、派遣先責任者と指揮命令者は同一人物でも構いませんが、苦情処理等の申出先を兼務することは好ましくないため注意しましょう。
苦情処理等の申し出先とは、派遣スタッフからの相談受付窓口で、派遣元への報告や処理対応にあたる担当者です。
苦情を受けるという性質上、法令や労務に詳しい人物が望ましいでしょう。また、苦情や相談を受けるという立場上、直接現場で関わりの多い指揮命令者と兼任することは望ましくありません。
派遣先管理台帳とは、派遣スタッフの管理や就業実態把握のために必要な書類のことです。派遣スタッフ一人ひとりの業務内容や就業場所、就業日などを記載し、勤務状況の記録を行います。
労働者派遣法により派遣先が作成しなければならない書類として定められており、契約満了日から3年間の保管義務があります。
なお、人材派遣会社の規定によって異なりますが、基本的に1ヶ月に1回以上、派遣管理台帳の内容を派遣元に通知しなければならないことも覚えておきましょう。
派遣スタッフの日々の勤怠管理は、派遣先が行います。就業時間のほか、休憩、残業、休日の管理・記録を行い、人材派遣会社に月に一回報告しなければなりません。
ただし、直接管理するのは派遣先企業ですが、派遣スタッフの労働条件や就業規則の設定を行うのは雇用主である人材派遣会社です。派遣先のルールは適用されませんので注意しましょう。
派遣スタッフの受け入れにあたり、 スムーズに就業開始するための準備や、快適に業務を遂行できる職場環境の整備を怠らないようにしましょう。
派遣スタッフの受け入れにあたり、新入社員に用意するのと同様に、専用デスクや備品、入退館IDやアカウントの発行、ロッカーなどが必要です。
また、一緒に働く仲間として扱うことはもちろん、社員食堂や休憩室、保健室なども派遣スタッフが利用できるようにすることが望ましいでしょう。
人材派遣を活用する場合、派遣スタッフにはなんでも依頼できるわけではありません。
最後に、派遣先が対応できないことや、禁止事項について解説します。
労働者派遣法第26条6項に基づき、派遣先は派遣スタッフの選考や事前面接、履歴書の提出などを求めることは禁止されています。
時折「職場見学」として派遣スタッフが就業前に企業訪問を行うことがありますが、これはあくまでもミスマッチを防ぐために実施されるものであり、派遣スタッフの希望がなければ無理強いすることはできません。
人材派遣において、派遣スタッフの業務内容は、あらかじめ労働者派遣契約によって合意されたものしか依頼することはできません。
なぜなら、派遣労働者が契約以外の業務に従事できる仕組みだと、不利益をこうむる可能性があるからです。契約外の仕事や残業指示などは原則禁止されているため、注意しましょう。
仕事内容と同様に、派遣スタッフの就業場所についても労働者派遣契約で取り決めがされています。
そのため、自社社員と違い、原則終業後の転勤や配置転換(部署移動)も依頼できません。
人材派遣は契約後に依頼内容を変更することは難しいため、スタッフを受け入れる前に人材補充が必要な期間や任せたい仕事など、自社の抱える課題を明確にしておくことが大切です。
人材派遣会社のメリットデメリットに関して、こちらの記事もご覧ください。
人材派遣を活用するとき、派遣先企業には今回ご紹介したような多くの義務や責任が生じます。
そのため、労働者派遣法など遵守しなければならないルールも多いため、なかなか派遣スタッフ受け入れに踏み切れない企業が多いことも事実です。
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