請求業務は、あらゆる企業が毎月のように反復して行っている業務でありながら、自動化が進まずに多くの時間がかかってしまう業務のひとつでもあります。
すべてを完全に自動化することは難しいとは言え、Excel(エクセル)やVBAを活用することによって、新たにアプリケーションやソフトウェアを導入することなく、すでに社内にある設備で請求業務の自動化が実現します。
社内でDXに取り組む経営者や担当者の方のために、請求業務の自動化について情報をまとめます。
企業の請求業務は、業種や業態などによって細部には違いがあるものの、主な流れには大きな違いはありません。
1.データを用意する
請求先
2.それぞれのデータを請求書のフォーマットに入力
3.作成した請求書をPDFに変換してダウロードする
4.メールや郵送によって取引先へと送付
もちろん、これらの作業は取引先の数だけ繰り返さなければなりません。
請求業務の特徴は、絶対に内容を間違ってはいけない業務であるのにもかかわらず、データの用意から請求書への入力、メールや郵送の宛名など、いくつもの間違いが発生しやすいポイントがあることです。
実際にVBAを使用して請求業務を自動化すると、どのような流れになるのかについて、各ステップごとに具体的な流れを解説します。
請求書の作成からメール送信までを自動化することで、担当者の手が離れるだけでなく、記入ミスや間違いが発生しにくくなるので非常に便利です。
請求業務のうち、VBAによる自動化が有効な工程は、主に3つあります。どれも単純な作業ではあるものの間違いが許されず、慎重に作業を行うために時間を要してしまう工程です。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
請求書作成は、VBAが最も得意とする作業です。
取引データをまとめたExcelファイルなどの一覧をもとに、ルールに従って請求書の各項目をテンプレートに反映していきます。
複数の取引先の請求書の作成であっても、VBAが自動的に請求書の項目を反映していき、最終的にはPDF化してパソコンやクラウドに保存まで行います。
請求書のPDFが自動的に作成されるだけでなく、VBAを上手く活用することで、取引先に送るメールの作成も自動化できます。
取引先に対して送付するメールですので、相手の社名や担当者名などの入力が必要で、また請求書のPDFの添付漏れが無いように確認しなければなりません。
こういった作業もVBAが得意とするところで、漏れなく速やかな処理が可能です。
請求書を添付したメールを作成後、VBAによってメールの一斉送信までを完了させることができます。
つまり、取引データなどを用意する必要がありますが、その後の作業については全てをVBAによって自動的に処理できるようになります。
請求業務を自動化するために準備しなければならないものについて、詳しく解説します。
前の項目でご紹介したようなVBAによる自動化を実現するためには、「データ」と「テンプレート」の2種類が必要で、具体的には以下の4つを用意しなければなりません。
請求書は、それぞれの会社ごとに異なるフォーマットになっていますので、自社に適した内容の請求書テンプレートを用意する必要があります。
など、どの請求先に対しても同じ内容になる項目については、事前に請求書テンプレートとして内容を盛り込んでおきましょう。
請求書に記載すべき内容をまとめたものが取引データ一覧で、VBAが参照しながら請求書を作成するものです。
取引データには、
などの情報が含まれます。どのように情報をまとめるかについては、コツや工夫が必要です。
取引先に請求書を送付する際のメールの本文については、メールテンプレートを用意しておきます。
このテンプレートを利用してVBAが自動的に
などを入力して、メールを自動的に完成させ、送付します。
メールを自動的に作成して送付するようにVBAを設定するには、送信先などを含めた顧客情報一覧を作成する必要があります。
顧客情報には、
などをまとめ、Excelファイルで用意することがおすすめです。
ここでは少しの工夫で飛躍的に便利になるVBAのプログラム作成時のポイントをご紹介します。
商品や業務などの請求データを月ごとに分けて管理するのではなく、すべての取引を1つのファイルに記載して、VBAによって対象期間のデータのみを請求書に転記する方が、事務担当者の作業効率が高まります。
同じ取引先で複数の取引があっても、取引先ごとにまとめて処理が進められるため、作業効率が高まります。
取引データ一覧から取得した対象データを自動的に請求書テンプレートに転記します。
同時に合計金額等も自動計算し、請求書を完成させます。
作業の手間が大幅に軽減されるだけでなく、転記ミスや計算ミスを防ぐことができます。
作成後の請求書は、ファイル名の付け方も意識しましょう。
例えば
などが一般的ですが、必ず重複が無いファイル名であることが大切です。
同じファイル名で上書きされないように注意しましょう。
過去にさかのぼって請求書を確認できるように管理するためには、
などの工夫が必要です。
請求業務をVBAによって自動化することのメリットについて整理します。
データに基づいて事務的に作業を進めるVBAによって記載ミスが減ります。
人の手を離れることで業務が効率化されるだけでなく、作業の精度が高まります。
単調な作業の繰り返しに人員を割く必要が無く、自動的に大量の書類が完成します。
さらに、保管先や名称統一できることにメリットを感じられるケースも多いです。
マイクロソフトOfficeさえあれば誰でもはじめることができるVBAは、社内DXで最初に取り組む企業も多いでしょう。
VBA導入時には専門知識が必要な部分もありますので、社内でVBAを使える人材を確保して内製化するか、VBAサポートに強い企業などにアウトソーシングするのかは、この記事の内容を参考にしながら検討してください。
もちろん、VBAは請求書に特化した自動化ツールではありませんので、レポートやアンケートを自動作成したり、多くの業務で自動化が可能です。
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