RPAとVBAは、どちらも業務自動化を叶える強力なツールです。そこで今回はRPAとVBAの違いから、導入までの難易度の比較、検討すべきポイントなどを網羅して解説します。
最後にはRPAとVBAを組み合わせた活用方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
RPAとVBAはどちらもPC作業を自動化するための業務効率化ツールです。
簡単に比較すると、
PCの定型業務を自動化するロボットツール
Microsoft Office上の業務を自動化するためのプログラミング言語
という根本的な違いがあります。詳しく見ていきましょう。
RPA(Robotic Process Automation)は、「ロボットによる業務プロセスの自動化」のことです。
業務の手順をロボットに記録させ、日々のルーチンワークや単純作業を自動化できるため、「仮想知的労働者(デジタルレイバー)」とも呼ばれています。
RPAには以下の3種類があります。
多くのRPAはプログラミングの知識がなくても扱えるため、官公庁や大企業を中心に、バックオフィスにおける大量のデータ処理や業務効率化に活用されています。
RPAは、複数のアプリケーションを横断た業務を自動化するのが得意です。
例えば、
など、幅広いシステムを使った業務に対応できます。
VBA(Visual Basic for Applications)は、Microsoft Officeツール上で作業を自動化する「マクロ」を記述するためのプログラミング言語です。
マクロには簡易な記録機能も搭載されていますが、より複雑な処理を自動化するためにはVBAの知識が欠かせません。
また、VBAはMicrosoft製品の標準機能なので、
などのツールがあれば、導入費用もかかりません。
ただし、複雑な設定やエラー対応には一定の知識が求められるため、スムーズにVBAを使いこなすには、ある程度のプログラミングスキルが必須です。
VBAはMicrosoft内における細かなタスクの自動化に向いています。
例えば、
など、Officeツールを日常的に利用している現場では、VBAだけでも十分に業務の自動化が叶います。
業務の自動化を検討する際、RPAとVBAのどちらを導入すべきでしょうか。ここではRPAとVBAの特徴を比較し、導入における難易度の違いを解説します。
もし現場社員にプログラミングスキルがない場合、VBAは難易度が高いため、RPAがおすすめです。
プログラミングスキルは不要
プログラミングスキルが必須
RPAツールは、豊富なテンプレートやクリック・ドラッグなどで直感的に操作できるため、プログラミングスキルはほとんど求められません。
一方、VBAは簡単なマクロであればコーディングなしで対応できるものの、カスタマイズを行うにはプログラミング技術が欠かせません。
自動化の範囲は、RPAの方が格段に広いです。
パソコン上で行うほぼすべての業務を自動化できる
Officeツールに限らず、さまざまなアプリケーションやシステムとの連携が可能
主にMicrosoft Office製品(Excel、PowerPointなど)内での自動化に特化
Officeツール以外のアプリケーションには対応が難しい
そのため、
と、業務の状況にわけて導入しましょう。
RPAは、外部システムも含めた広範囲での連携が可能です。複数のアプリケーションやシステムをまたぐ業務でも自動化できます。一方、VBAはOffice製品内で完結する作業に特化しており、外部システムとの連携は困難です。
外部システムも含めた広範囲での連携が可能
外部システムとの連携は困難
RPAは、PCの性能に依存しないため、安定した処理速度を提供できます。VBAは逆に、PCの性能に依存する傾向が強く、大量データの処理には向いていない場合があります。
高速で大量のデータ処理が可能
処理速度はPCの性能に依存
一般的にVBAは導入コストがライセンス料のみで安価です。ただし、本格的な開発を外注する場合、数十万円の費用が必要になります。
その一方、RPAは導入から運用まである程度のコストが必要になります。
導入費用は数万円から数百万円まで幅広く、利用人数やサポート体制によって異なる
既にOffice製品を使用している場合は追加コストなし
ただし、外部業者への開発依頼には費用が発生
料金に幅があるため、まずは無料ツールを試験導入してみたり、自動化のコスト削減効果の範囲内で導入できるツールを試してみるとよいでしょう。
ツールの導入後、トラブル対応や定期メンテナンスなどのサポートが必要な場面は意外と多いものです。
RPAは導入支援が付帯しているツールが多く、ヘルプデスクなどのサポートが受けられる
Microsoft Officeの機能のひとつなので、専門のサポートはない
RPAとVBAにはそれぞれメリット・デメリットがあり、業務の実態に応じて選択することが大切です。ここでは、RPAとVBAのどちらを導入すべきか見極めるためのポイントを4つ解説します。
自動化したい業務にMicrosoft製品以外のツールが必要な場合、RPAを導入するのがおすすめ
ただし、RPAも全てのツールと連携できるわけではなく導入コストも必要なので、「現在の業務プロセスをMicrosoft製品で代替できないか」は確認してみましょう。
VBAはMicrosoft製品の自動化に特化しています。Microsoft製品で完結できる場合は、VBAをおすすめします。
VBAはスムーズな構築・管理ができるようになるまで、ある程度の学習期間が必要
RPAは基本的にプログラミングスキルに依存しないため、操作などの研修を受ければ誰でも扱うことが可能です。
そのため、現場にプログラミングスキルを持つ社員がいない場合や、すぐに業務自動化にとりかかりたい場合はRPAの導入を検討しましょう。
1度に数十万件以上の膨大なデータを高速処理したい場合、サーバー型やクラウド型のRPAがおすすめ
もし、
にしてしまうと、処理速度はPCの性能に依存するため、データ量が多いと負荷がかかってフリーズ・低速化する可能性があります。
VBAの方が安価
実は、RPAとVBAにかかるコスト計算は複雑です。
など、実は隠れコストが多いのです。
RPAは、導入・運用コストはかかるものの、その後のサポートやセキュリティ面を考えるとVBAと比べて安く済む場合もあります。
このようにRPAとVBAは単純な導入コストだけで比較するのは難しいため、RPAとVBAの双方に精通した外部企業に見積もりを依頼することをおすすめします。
これまでRPAとVBAの導入難易度の違いについて比較してきました。
しかし、実はRPAとVBAは組み合わせて使うことで、業務の自動化を加速させることができます。例えば、RPAだけで行うと負荷が大きい作業も、VBAを柔軟に併用することで簡略化することも可能です。
Excel VBAで作業したあと、RPAで作業します。
RPAとVBAの強みを生かした運用を行うことで、業務を最適化していきましょう。
RPAは広範囲な業務自動化を実現できるため、多様なアプリケーションやシステムを使用する企業に適しています。一方、VBAはOffice製品内での細かい調整やカスタマイズに優れており、Microsoft製品のみを使う環境では高いコストパフォーマンスを発揮します。
どちらを選ぶかは、自社の業務内容や規模に応じて決定することが重要です。
業務自動化についてさらに詳しく知りたい方や導入を検討している方は、ぜひコクーにご相談ください。コクーでは、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。
コクー(EXCEL女子)の『VBAを活用した業務効率化サービス』
コクー(EXCEL女子)の『RPAを活用した事務作業の自動化・効率化サービス』