企業が成果を出すためには、業務の見える化によって洗い出した膨大な業務を1つずつ丁寧に確認し、見直しを進めていくことが必要です。
しかし、適切な方法で見直しを行わなければ、費やした時間に対して効果が見合わなかったという事態に陥ってしまう可能性があります。
これでは、生産性の向上という目的が果たせないだけではなく、限られた人員と時間を無駄に使ってしまったという結果になりかねません。
そこで今回は、生産性の向上について改めて理解を深めたうえで、業務の見直しをする際に抑えておきたい「ECRSの原則」というフレームワークを分かりやすくご紹介していきます。
はじめに、ここで言う生産性とは「労働生産性」のことを指します。
「労働生産性」の定義は、”労働時間に対して成果がどれだけ得られたのか”という労働者1人における1時間あたりの割合のことで、生産性の向上とは、その割合が増えることを言います。
会社の成長を促進させるには、日々目の前の業務を繰り返しこなすような現状維持の動きだけではなく、一見安定的に見えるような業務についても、現状の体制や業務目的に合うものに積極的に見直し、生産性を高めるにはどうしたらいいかという検討と改善を定期的に実施していくことが重要です。
生産性向上について、こちらの記事もご覧ください。
この「労働生産性」は、数値で計ることができます。
一般的には、アウトプット(産出量)をインプット(投入量)で割った式で算出可能で、労働投入量1に対して、どのくらいの利益が得られたのかという数値です。
例えばメーカーの場合、1つの商品を生み出すために投入する、人件費、外注費、運用費などをインプット、できあがった製品やサービスをアウトプットと設定します。
企業によって該当するインプット・アウトプットは異なりますが、考え方は同じです。
とある資料によると、一般にDX化の進展は、定型的・反復的な作業を代替することで高いスキルレベルの労働需要を相対的に増加させることができると考えられています。
今後さらなるイノベーションを生み出していくには、暗黙知も含めてすべての業務を見える化し、適切な方法で見直しに取り組むことが業務効率化への近道となり、生産性向上への直接的なアプローチになります。
ECRSの原則とは、以下の4つの単語の頭文字をとってできた言葉で、ECRSの法則といわれることもあります。
ECRSの原則のフレームワークを活用する場合、頭文字の順番通り排除、結合、入れ替え、簡素化の順に進めるが成功の鍵です。
ECRSの原則を使って業務の見直しを進める前に、必ず実施しておきたいのが業務や課題の「見える化」です。
企業活動においての見える化とは、業務プロセスの実態を目に見えるようにすることです。暗黙知も含めて見える化された業務こそが、見直しをするうえで最も有効な検討材料となります。
業務の見える化について、こちらの記事もご覧ください。
ここからはそれぞれの項目について具体的に解説していきます。ご自身の業務に置き換えて、考えてみてください。
まず1つ目は、「排除」です。不要な業務などはないか?という視点で見ます。
ルーチンワークで日々当たり前にこなしている業務も、実は過去スポット的に発生した業務がなんとなく続いているだけで、今必要な業務ではないかもしれません。
目的が不明確で曖昧な業務は、すぐに排除候補として検討を開始しましょう。
この「排除」に該当する業務は、コストも手間もかかることなく即時に見直しを実行できます。
2つ目は、「結合」です。存在する複数の業務について、合わせられる業務はないか?または、分離すべき業務はないか?という視点で見ます。
所要時間や適切な人材配置を考えたうえで、工程ごとに担当者が分かれていた業務を1人に集約したり、煩雑になってしまった業務を分けてみたりしましょう。
この「結合」に該当する業務は、業務量や作業者の負担も減らすため人的コスト削減も期待できます。
3つ目は、「入れ替え」です。一連の業務手順について、入れ換えできないか?という視点で見ます。
ポイントとしては、業務の優先順位をつけて考えることです。
1つの業務に対して、最も効果が発揮できるプロセスになっているのか、担当者は適切か、自動化できる作業はないかなど検討します。
単純な業務があれば、自動化することで効率化が実行できます。
この「入れ替え」に該当する業務は手間はかかるものの、一度Excelマクロなどを使用して効率化をしてしまえば、長期的に見て大幅な時間短縮を見込めます。
そして最後が、「簡素化」です。業務をよりシンプルにできないか?という視点で見ます。
複雑なやり方で進める業務や、関係部署への確認が多岐に渡るなど、本当は必要のないステップが組み込まれている可能性があります。
難しい業務ほど、目的を達成するために適切なプロセスになっているのかを細かく確認するようにしましょう。
ECRSの視点をもって業務を見直せば、さまざまな改善案が浮かんできます。
業務を見直すことは決して簡単ではありません。
しかしECRSの原則の4つの視点をもって取り組めば、全体を俯瞰して業務を見ることができ、生産性の向上に繋がります。
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