月末月初に業務が集中しやすい経理部門では、売上確認や請求書発行、支払処理、月次締めなど、多くの作業を限られた時間で進める必要があります。
さらに、システムの操作方法に関する問い合わせが重なると、本来注力すべき確認業務や判断業務に時間を割きづらくなってしまいます。
今回ご紹介するのは、Web広告を扱う企業の経理部門で、EXCEL女子メンバーが行った業務改善の事例です。
Salesforceに関する問い合わせの傾向を分析し、承認フローの見直しやFAQサイトの整備、リマインド対応の効率化を実施。
月末月初の業務負荷軽減につなげました。
業務を「代わりに行う」だけでなく、現場に残る仕組みまで整える。
その支援の裏側について、担当したS.I.さんに話を聞きました。
まず、担当していた業務について教えてください。
主に、Web広告を扱う企業の経理部門で、業務管理や経理業務を担当していました。
具体的には、Salesforceに登録された受注・売上情報を確認し、エビデンスと照らし合わせながら、請求書の発行が必要なものについては発行対応を行っていました。
そのほかにも、原価支払や経費精算、販管費の支払、月次締め作業など、経理に関わる幅広い業務に携わっていました。
常駐開始前、お客様はどのような課題を抱えていましたか?
一番大きな課題は、月末月初に経理チーム内の業務負荷が集中していたことです。
締め日間近の月末月初に、どうしても売上管理・支払処理業務が重なってしまいます。
そこに加えて、Salesforceの登録方法や操作方法に関する問い合わせも多く寄せられていました。
多い時には、1時間に13件ほど問い合わせが入ることもありました。
内容も、簡単な操作方法の確認から、上長確認が必要な複雑なものまでさまざまでした。
対面での相談だけでなく、チャットツールでも連絡が入るため、対応が特定の方に集中してしまうこともありました。
また、ある程度纏めて作業をされる方にとっては、月に一度の作業であると、手順を忘れてしまうということも幾度となくありました。
お客様側も、改善すべき点があることは感じていらっしゃいました。
ただ、日々の業務に追われる中で、原因を一つひとつ洗い出し、解決策を検討する時間や心理的な余裕がない状態でした。

課題解決に向けて、最初に何から着手しましたか?
まずは、問い合わせ対応の実態を把握するところから始めました。
社員の方が特に対応に苦戦されており、かつ原因を調査しやすい領域が問い合わせ対応だったためです。
日常業務を担当されている社員の方に代わり、月末月初の中で何に一番時間がかかっているのかを客観的に分析しました。
年度末の締め作業が終わったタイミングで、隙間時間を使い、直近3か月分の業務工数とチャットツールの履歴を確認しました。
調査してみて、どのような原因が見えてきましたか?
Salesforceに関する問い合わせ、特に登録方法や操作方法、申請方法に関する質問が多いことが分かりました。
本来であれば、証憑確認や支払に関する確認に時間を使うべきところを、操作方法の問い合わせ対応に多くの時間を取られていたのです。
また、承認フローの中でも待機時間が発生していました。
半日以上、作業を進めたくても進められないケースも複数ありました。
そこで、常駐先の責任者の方に原因を共有し、マニュアルの再作成と、Salesforceの一部改修を提案しました。
さらに、申請者側だけではなく、経理チーム内の作業負担を減らすため、リマインドメールの対応も見直せないか検討しました。
マニュアルの再作成では、どのような工夫をしましたか?
既存のマニュアルは、ベンダーが作成したシステム全般の資料と、簡易的な作業マニュアルの2種類がありました。
ただ、どちらもテキスト中心でページ数が多く、作業者の方にとっては「読むより聞いた方が早い」と感じられやすい状態でした。
そこで、Google Workspace環境を活かし、Googleサイト上にFAQサイトを作成しました。
画面キャプチャを使い、問い合わせが特に多かった内容を上位5つに絞って掲載しました。
画面遷移も少なくし、忙しい現場の方でも検索してすぐに必要な情報へたどり着けるようにしました。
また、ベンダー側のシステム改修が頻繁に発生する背景もあったため、更新しやすい構成にしたこともポイントです。
凝ったマニュアルを作っても、更新の手間が大きければ運用が続きません。
現場で無理なく使い続けられることを意識しました。
Salesforceの承認フローでは、どのような改善を行いましたか?
承認段階で発生していた待機時間を減らすため、Salesforce内の承認フローを見直しました。
それまでは、上長の承認後に本人が次のステータスへ進める必要がありました。
そこで、上長承認後は自動で次のステータスへ移行する流れに変更できないか検討しました。
申請者、承認者、責任者の方に丁寧にヒアリングした結果、現行フローはシステムの既存仕様の都合で構築したものであることが分かりました。そして、変更しても運用上問題ないことが確認できたため、改修を実施できることになりました。
そのうえで、常駐先のシステム部門に現行フローと改善後の構想を説明し、Salesforceの一部改修を実施していただきました。
リマインドメールについては、どのように改善しましたか?
それまでは、経理チームがSalesforce内の進捗を確認し、各ステータスと、次のステップへ移行するための作業を、申請者ごとにメールに記載し送付していました。
受け手はそのメールを確認し、システム内で作業を進めます。
この一連の流れを、できるだけシステム内で完結できないかと考えました。
こちらも常駐先のシステム部門へ、現行の運用と改善後の構想を説明し、Salesforceの一部改修を実施していただきました。

実際に、どのような成果が出ましたか?
まず、FAQサイトを整備したことで、作業者の方が必要なタイミングで自分で情報を確認できるようになりました。
経理チームに直接お問合せがあった場合でも、 毎回テキストで説明するのではなく、FAQを案内できるようになりました。
その結果、Salesforceに関する問い合わせは、1日あたり0〜2件ほどまで大きく減少しました。
証憑確認や支払に関する問い合わせなど、本来時間を使うべき業務に集中しやすくなりました。
また、Salesforce内のフローを見直したことで、申請の有無確認やリマインド対応も不要になりました。
申請者と承認者の間での確認連絡も減り、一部の上長の方からは心理的な負担が軽くなったという声もいただきました。
リマインドメールについても、締め作業期間中に作成・確認・修正で20時間弱かかっていた作業が、クリック一つで誘導できる仕様になり、10分以内に短縮されました。

改善を進めるうえで、大切にしたことはありますか?
Salesforceは、お客様にとって基幹システムの一つでした。
そのため、こちら側だけで完結させるのではなく、改修の目的や履歴、変更仕様をお客様内で管理できる状態にすることが大切だと考えました。
後々のリスクを減らすためにも、常駐先のシステム部門の方にご協力をお願いしました。
提案に耳を傾けてくださり、実際の改修にもご尽力いただけたことが、今回の改善につながったと感じています。
今回の支援を通じて、印象に残っていることはありますか?
今回のご依頼は、お客様の大切な社員の方が長期休暇に入られるため、その業務を一定期間お預かりするという内容でした。
業務を進める中で、「こうした方がよいのではないか」という提案にも真摯に耳を傾けていただきました。
ヒアリングや実際の改修にもご協力いただき、常駐先の皆さまにはとても感謝しています。
また、今回の業務を通じて、SalesforceやGASといったツールに初めて触れることができました。
仕様や動作について知見を広げることができたのも、大きな経験でした。
今後、同じような支援を行ううえで意識したいことはありますか?
今後、同じような業種やツールをご利用のお客様へ業務改善を提案する際には、Salesforceの仕様について、より理解を深めていきたいと考えています。
ツールの操作そのものだけでなく、業務フローや承認プロセス、現場の負担感まで含めて見ることで、より実用的な改善提案ができるようになると思っています。
EXCEL女子は、どのような企業におすすめですか?
「EXCEL女子」と聞くと、Excelだけを支援するサービスだと思われるかもしれません。
もちろんExcelは、多くの企業で一度は使われている、または現在も使われている身近なツールです。
一方で、さまざまな理由からExcelから別のツールへ移行し、Salesforceのようなシステムを使って業務を進めている企業も多いと思います。
EXCEL女子は、Excelを基軸にしながら、さまざまなツールについて日々学び、業務改善に取り組んでいるメンバーで構成されています。
Excel運用にお悩みの企業様はもちろん、現在はExcelを使っていないけれど、今使っているツールの中で業務を改善したいと考えている企業様にもおすすめです。
ご利用中のツールやお困りごとをお伺いし、お客様にとってより良い形で改善をご提供できるよう尽力いたします。
今回の事例では、月末月初に集中していた経理業務の負荷に対し、問い合わせ内容の分析、FAQサイトの整備、Salesforceの承認フロー見直し、リマインド対応の効率化を行いました。
その結果、Salesforceに関する問い合わせは大幅に減少し、リマインドメール作成にかかっていた時間も20時間弱から10分以内へ短縮されました。
ポイントは、目の前の業務を代行するだけでなく、現場の方が使い続けられる仕組みを整えたことです。
業務改善は、大きなシステム刷新だけで実現するものではありません。
日々の問い合わせ、承認待ち、手作業の確認など、小さな負荷を丁寧に見つけ、現場に合った形で整えていくことが大切です。
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