「すべてのコードを統一する」以外の答えを探す。
Excelの自動変換で実現した、現場に無理のない実績集計の標準化
製造業のお客様では、各施策の担当者がそれぞれのルールで実績を集計しており、同じ拠点の中でも複数の管理コードが使われていました。
そのため、拠点ごとの実績や全体の進捗を確認する際には、データの照合や集計に多くの時間が必要となっていました。
本プロジェクトを担当したコクー社員は、日々の実績集計やマスタ管理、データ整形を担うなかで、コードそのものを一度に統一するのではなく、既存の運用を活かしながらデータを整理できる方法を検討しました。そこで構築したのが、異なるコードをボタン一つで変換し、実績データと拠点情報を集約できるExcelツールです。
支援で重視したのは、機能を増やすことではなく、Excelやマクロに慣れていない担当者でも迷わず使えることでした。
本記事では、複雑な管理ルールをどのように整理したのか、現場の負担を抑えるためにどのような設計を行ったのか、
そして一つの改善が他部門へ広がるまでの過程を紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 製造業 |
| 支援期間 | 1年以上 |
| 仕様ツール | Excel関数、Power Query、VBA、マクロ |
| 担当範囲 | 現状ヒアリング、業務棚卸し、既存運用の調査、現状整理、設計、実装・構築、標準化、改善提案 |
| 支援形態 | 常駐支援 |
複雑になったExcel業務を、現場で続けやすい仕組みに整えませんか?

お客様はどのような課題を抱えていましたか?
お客様の現場では、複数の施策に関する実績データを、それぞれの担当者が独自のルールで集計していました。
同じ拠点を表す情報であっても、施策や担当者によって異なる管理コードが使われており、同一拠点内に複数のコードが存在する状態になっていました。
各業務はそれぞれの目的に合わせて運用されてきたため、管理コードをすぐに一つへ統一することは簡単ではありません。
一方で、コードが異なるままでは、特定の拠点や周辺拠点の実績をまとめて確認する際に、データの照合や変換が必要になります。
全体の進捗を把握するまでに時間を要し、集計を担当する人の経験や判断にも頼りやすい状況でした。
また、拠点情報や管理コードが変更された場合、その内容を各データへどのように反映するかも課題でした。
更新方法が複雑になるほど、作業できる人が限られ、確認漏れや修正負担が生まれやすくなります。
そこで求められたのが、既存のコードを無理に変更することなく、拠点ごとの実績を同じ基準で確認できる仕組みでした。
課題解決のために、どのようなことを意識しましたか?
支援担当者は、最初からツールの仕様を決めるのではなく、各施策で使われている実績データや管理コード、集計方法を確認することから始めました。
どのコードが同じ拠点を表しているのか、どの情報を基準に変換する必要があるのかを整理し、業務の現状を一つずつ可視化していきました。
検討の結果、すべての管理コードを変更するのではなく、コードの対応関係をマスタとして管理し、Excel上で自動変換する方法を採用しました。
既存の運用を大きく変えずに、必要な場面で共通の形式へ整えられるため、現場への影響を抑えながら集計ルールをそろえられると考えたためです。
特に意識したのは、Excelやマクロに不慣れな担当者でも使い続けられることでした。
操作が複雑になると、便利な機能を備えていても利用する人が限られ、再び属人化につながる可能性があります。
そこで、実績データを所定の場所へ格納し、ボタンを押すだけでコード変換を実行できる設計にしました。
利用者がマクロの仕組みを理解していなくても、普段の業務の延長で操作できるようにしています。
さらに、拠点情報やコードが変更された際の更新作業も、できるだけ少ない手順で済むようにしました。
毎月1回、各施策の実績データを同じフォルダへ格納するルールを設けることで、最新の実績を共有しやすくするとともに、拠点情報やコードの変更にも気づきやすい状態を整えました。
依頼された機能を実装するだけでなく、「誰が使うのか」「変更が発生したときに運用を続けられるか」という視点まで含めて設計したことが、今回の支援における重要なポイントです。
印象に残っているエピソードを教えてください
今回のツール構築では、支援担当者にとってマクロ設計そのものが初めての挑戦でした。
要件を整理したあとも、コード変換をどのような処理で実現するか、エラーが発生した場合にどう対応するかなど、検討すべきことが数多くありました。
分からないことが出てきた際には、ネット上の情報やAIを活用しながら実装方法を調べ、実際のデータを使って検証を重ねました。
開発途中には、想定した通りにデータが変換されないなどのエラーも発生しましたが、一つずつ条件を切り分け、原因の特定と修正を繰り返しました。
初めて扱う領域であっても、できない理由を並べるのではなく、要件を満たす方法を探し続けたことで、
現場で利用できるツールとして完成させることができました。
さらに、完成したコード変換の仕組みは、当初対象としていた業務だけでなく、他の課でも活用されるようになりました。
一つの現場で生まれた改善が横へ広がり、組織全体の業務効率化につながったことは、支援担当者にとって特に印象に残る出来事となりました。
支援を通してどのような成果がありましたか?
コード変換を自動化したことで、担当者が実績データを一件ずつ確認し、手作業でコードをそろえる負担が軽減されました。
異なる管理コードで記録されたデータも共通の形式へ変換できるようになり、拠点ごとの実績や進捗を確認しやすくなっています。
操作をボタン一つに簡略化したことで、Excelやマクロの知識に左右されにくい運用も実現しました。
特定の担当者だけが処理方法を理解している状態から、複数の担当者が同じ手順で利用しやすい状態へ変化しています。
また、各施策の実績データを毎月同じフォルダへ格納するルールを設けたことで、データの保存場所や確認方法も整理されました。
実績の現状を共有しやすくなっただけでなく、拠点情報やコードに変更があった際にも、差異を把握しやすくなっています。
構築した仕組みは他の課にも展開され、個別業務の改善にとどまらず、組織内で同様の課題を解消するための土台として活用されています。
成果まとめ
- 異なる管理コードをExcel上で自動変換し、拠点ごとの実績を集計しやすくなった
- ボタン一つで処理できる設計により、Excelやマクロに不慣れな担当者でも利用しやすくなった
- 手作業によるコード確認やデータ整形の負担が減り、集計作業を進めやすくなった
- 実績データの格納ルールが整理され、最新状況やコード変更を確認しやすくなった
- 構築した仕組みが他の課にも展開され、組織内の業務改善につながった
この経験から学んだこと
今回の支援を通して、支援担当者は、現場で感じる小さな違和感の中に業務改善のヒントがあることを改めて実感しました。
日々の業務では、「確認に時間がかかる」「少し使いにくい」と感じていても、その原因や改善方法まで明確に言語化されているとは限りません。
今回も、複数のコードが存在していることだけが問題なのではなく、
コードの違いによって集計や確認にどのような負担が生まれているのかを整理したことで、必要な仕組みが見えてきました。
また、業務改善では、理想的なルールを一方的に当てはめるのではなく、既存の運用を踏まえて実現可能な方法を考えることが重要です。
すべてのコードを直ちに統一するのではなく、変換する仕組みを設けたことは、現場の負担と改善効果の両方を考えた結果でした。
小さな不便を見過ごさず、現状を丁寧に整理し、一つずつ改善を積み重ねていく。
その継続が、やがて組織全体の大きな変化につながることを学んだプロジェクトとなりました。
今後チャレンジしたいこと
今回の経験では、業務の現状整理から要件定義、設計、実装、運用を見据えた仕組みづくりまでを一貫して担当しました。
今後も、現場で明確に言葉になっていない不便や負担を丁寧に拾い上げ、業務に合った改善方法を考えていくことを目指しています。
また、一つの業務だけを効率化するのではなく、他部門にも展開できる仕組みや、担当者が自分たちで更新しながら使い続けられる運用まで考えることで、継続的な業務改善につなげていきます。
現場に寄り添う業務改善なら、コクーへご相談ください
コクーでは、業務改善やDX推進に関するさまざまな支援を行っています。
まずは実際の業務手順や現場で感じている不便を確認し、課題整理や業務の可視化から支援を始めます。
課題や要件の整理、仕組みの設計・構築、テスト、運用ルールの整備、現場への定着まで、状況に応じた支援が可能です。
Excel、VBA、RPA、Power Platform、BI、kintone、CELF、AIなど、幅広い技術やツールに対応していますが、ツールを導入すること自体を目的にはしていません。現在の運用や利用する人の習熟度を踏まえ、お客様にとって無理なく続けられる方法を一緒に検討します。
業務の中にある小さな違和感や、まだ言葉になっていない課題からでも、ぜひご相談ください。
複数の管理コードをExcelマクロで変換し、拠点別の実績を見える化
| Before:困っていたこと | 改善:やったこと | After:できるようになったこと |
|---|---|---|
| 拠点ごと・担当者ごとに管理コードがバラバラ | Excelマクロで「コード変換ツール」を作成 | 拠点別の実績をすぐに集計できるようになった |
| 同じ拠点なのに、施策ごとに違うコードで管理されていた | バラバラのコードを共通の拠点情報に変換 | どの施策の実績も同じルールで見られるようになった |
| 集計するたびに確認・加工が必要だった | ボタン一つで変換できるようにした | 集計作業の時間と手間を削減できた |
| 担当者しか分からない運用になっていた | 操作を簡単にし、更新作業も最小限に設計 | 誰でも迷わず使える運用になった |