「拠点ごとの集計がしたいけれど、コードがバラバラで集計できない」。
そんな課題に対し、S.I.さんはExcelマクロを活用して、約5,000店舗分の実績を約30秒で集計できる仕組みを構築しました。今回は、現場で使い続けられる業務改善の工夫について伺いました。
まず、今回の支援内容について教えてください。
製造業のお客様先で、拠点ごとの実績を集計・確認しやすくするための業務改善を担当しました。
きっかけは、「拠点ごとの集計がしたいけれど、コードがバラバラで集計ができていない」というご相談をいただいたことです。
お客様の業務では、各施策ごとに実績データを扱っていたのですが、担当者や拠点によって管理コードの使い方が異なっていました。拠点によって使用しているコードの種類が違っていたり、複数のコードを併用していたりするため、拠点ごとの実績を正しく集計することが難しい状態でした。
そこで、既存のコードを整理し、Excelマクロを活用して集計できる基盤を構築しました。最終的には、更新ボタンを押すだけで、約30秒で拠点ごとの集計が完了する仕組みを実現しました。
お客様はどのような課題を抱えていましたか?
一番大きな課題は、管理コードが一元管理されておらず、拠点ごとの実績集計ができていなかったことです。
対象となる拠点数は約5,000店舗あり、管理コードも店舗ごとに複数存在していました。単純に考えても、5,000店舗に対して約10種類規模のコードが関係しており、さらに拠点によって使っているコードの種類や数も異なっていました。
そのため、各支店から「この拠点の実績を見たい」「エリアごとに比較したい」といった要望があっても、柔軟に集計することが難しい状態でした。
また、拠点・支店・エリアごとに「どの施策が強みなのか」といった深い分析にもつなげづらく、データはあるものの、営業活動や計画策定に十分活用しきれていませんでした。
最初に取り組んだことは何ですか?
まずは、現状のヒアリングと業務の棚卸しから始めました。
どのファイルにどのデータが入っているのか。どのコードがどの拠点に紐づいているのか。どのような切り口で集計できるようにすべきなのか。実際の運用を確認しながら、整理していきました。
統合に使用した元ファイルは、15〜20ファイルほどありました。中には4万行を超えるファイルも複数含まれており、扱うデータ量も大きいものでした。
最初からすべてをきれいに統一するのは現実的ではありませんでした。すでに各拠点や担当者ごとの運用があり、無理にコード体系を変えてしまうと、かえって混乱が生まれる可能性があったためです。
そのため、既存の運用を活かしながら、バラバラのコードを変換・集計できる仕組みを作る方針にしました。
具体的には、どのような仕組みを作ったのでしょうか?
Excel上で管理コードを整理し、拠点ごとの実績を集計できるファイルを作成しました。
使用したのは、Excel関数、Power Query、マクロです。対象業務としては、実績の集計、マスタ管理、データ整形、ルール統一が中心でした。
特に重要だったのは、複数の元ファイルを統合し、拠点ごとの実績を見られる状態に整えることです。これまで集計できなかったデータを、拠点・支店・エリアなどの切り口で確認できるようにしました。
また、操作はできるだけシンプルにしました。Excelやマクロに不慣れな方でも使えるように、更新ボタンを押すだけで集計が完了する設計にしています。現在は、ボタンを押すと約30秒で集計が完了します。
属人化していた実績集計を、誰でも扱える仕組みへ

設計で特に工夫した点はありますか?
現場で迷わず使えることを意識しました。
マクロやPower Queryを使った仕組みは便利ですが、操作が複雑だと現場には定着しません。そのため、利用者が手順で迷わないように、できるだけ操作を簡略化しました。
また、コードや拠点情報は今後も変わる可能性があります。そのため、変更が発生したときにも更新しやすいように設計しました。
毎月1回、現状の実績データを各施策で同じフォルダに格納する運用ルールも決めました。これにより、実績データを共有しやすくなり、拠点情報やコードの変更にも気づきやすくなりました。
ツールを作るだけではなく、使い続けるための運用まで整えることを大切にしました。
支援の中で、つまずいたことはありましたか?
マクロ設計は未経験だったため、要件定義やコードの実装方法には苦労しました。
特に今回は、扱うデータ量が多く、元ファイルも複数ありました。拠点数も約5,000店舗と規模が大きく、管理コードも一律ではなかったため、どのように整理すれば使いやすい形になるのか、何度も確認しながら進めました。
実装方法については、ネット検索やAIを活用しながら自学自習で進めました。開発中には想定外のエラーも発生しましたが、そのたびに原因を特定し、検証を繰り返しました。
一つひとつ原因を切り分けながら進めることで、最終的には自力でツールを完成させることができました。今回の経験を通じて、マクロの知識だけでなく、課題を整理し、実現可能な形に落とし込む力も身についたと感じています。
どのような成果につながりましたか?
改善前は、コードの一元管理ができておらず、拠点ごとの実績集計そのものが難しい状態でした。
今回、約5,000店舗分の拠点データと複数種類の管理コードを整理し、15〜20ファイルほどの元データを統合しました。そのうえで、Excelマクロを活用した集計基盤を構築したことで、更新ボタンを押すだけで約30秒で集計できるようになりました。
これにより、拠点・支店・エリアなどの切り口で、要望に応じた柔軟な集計・分析が可能になりました。
過去の実績を確認するだけでなく、営業先への提案資料や、次の計画値を設定するための根拠としても活用されています。現在は全社の共通データとして展開中で、明確に活用しているというフィードバックをいただいた部署も3部署あります。
お客様からは、どのような反応がありましたか?
過去実績を集計するだけではなく、さまざまな場面で活用いただいていると聞いています。
たとえば、営業先への提案資料を作成する際や、次の計画値を設定する際の根拠として使われています。
これまで見えづらかった拠点ごとの実績や、エリアごとの傾向を確認できるようになったことで、単なる集計表ではなく、次のアクションを考えるためのデータとして活用されるようになりました。
自分が作成した仕組みが、現場の業務だけでなく、営業活動や計画づくりにもつながっていると知り、大きなやりがいを感じました。
今回の成功要因は何だったと思いますか?
大きく3つあります。
ひとつ目は、課題を明確にできたことです。最初からツールを作るのではなく、「なぜ集計できないのか」「どのコードが障壁になっているのか」「どの単位で見える化したいのか」を整理したことで、必要な仕組みを考えることができました。
ふたつ目は、要件定義をしっかり行えたことです。コードを完全に統一するのではなく、既存のコードを変換して使うという方向性にしたことで、現場の運用を大きく変えずに改善できました。
三つ目は、運用まで見据えて設計できたことです。更新ボタンひとつで集計できるようにしたことや、毎月のデータ格納ルールを決めたことで、現場で使い続けやすい仕組みにできたと思います。
最後に、業務改善を検討している企業様へメッセージをお願いします。
日々の業務の中で感じる「なんとなくやりづらい」という違和感の中に、改善のヒントは隠れていると思います。
今回の支援も、「拠点ごとの集計がしたいけれど、コードがバラバラで集計できない」という現場の困りごとから始まりました。最初は明確な解決策が見えていなくても、業務の流れやデータの状態を整理していくことで、改善できるポイントが見えてきます。
業務改善は、大きなシステムを導入することだけではありません。今あるExcelやデータを活かしながら、現場に合った形で整えていくことでも、大きな成果につながります。
小さな違和感を見逃さず、ひとつずつ改善を積み重ねることが、最終的には組織全体の業務効率化につながると感じています。
今回の取り組みは、Excelマクロによって集計作業を効率化しただけの事例ではありません。
コードがバラバラで拠点ごとの集計ができなかった状態から、約5,000店舗分のデータを整理し、更新ボタンひとつで約30秒で集計できる仕組みへと整えた点に大きな価値があります。
さらに、過去実績の確認だけでなく、営業提案や計画値の設定にも活用されるなど、データの使われ方そのものも広がりました。
現場の違和感を起点に、業務の流れを整理し、使い続けられる仕組みに落とし込む。S.I.さんの支援は、現場起点の業務改善が、組織全体のデータ活用につながることを示す事例となりました。
Excel女子では、Excel関数・Power Query・マクロなどを活用し 、現場業務の効率化や属人化の解消を支援しています。
Excel女子では、Excel・VBA・Power Queryなどを活用し、現場業務の効率化や属人化の解消を支援しています。
「拠点や部署ごとの実績をうまく集計できていない」
「管理コードやマスタがバラバラで、データ活用が進まない」
「今あるExcel業務を、もっと使いやすく改善したい」
このようなお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
現場の運用に寄り添いながら、使い続けられる業務改善の仕組みづくりをご支援します。
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