本ガイドは、企業の人事担当者や経営者の皆様に向けた、戦略的な雇用形態選択のための実用的な資料です。多様化する雇用形態を効果的に活用し、企業の生産性向上と適切な人材配置を実現するためのヒントを提供します。

更新日:2024.12.24
目次
派遣社員がすぐ辞めてしまうと、企業にとって大きな損失です。そこで今回は、派遣社員が早期退職してしまう理由や、定着率アップのための秘訣を解説します。
派遣社員に長期で安定して勤務してもらうためのポイントを、詳しくみていきましょう。
雇用形態の選択比較ガイド
本ガイドは、企業の人事担当者や経営者の皆様に向けた、戦略的な雇用形態選択のための実用的な資料です。多様化する雇用形態を効果的に活用し、企業の生産性向上と適切な人材配置を実現するためのヒントを提供します。
まずは派遣社員が退職前にどのような悩みや不満を抱いているのか、大手派遣会社や厚生労働省の発表している統計データからみていきましょう。
大手派遣会社であるエン派遣が2020年4月、9,396名に実態調査を行った結果、派遣社員の81%が仕事に悩みが「ある」と回答していることがわかりました。
内訳を上位からみてみると、約4割の派遣社員が待遇面で悩んでおり、2〜3割は仕事内容や人間関係で不満を抱えていることがわかります。
給与・待遇 | 41% |
仕事内容 | 27% |
雇用の安定性 | 26% |
就業先の上司・社員との人間関係 | 22% |
仕事の量 | 21% |
就業の継続 | 19% |
今後のキャリア | 19% |
仕事の進め方 | 18% |
スキル・経験不足 | 17% |
仕事とプライベートの両立 | 14% |
仕事の評価 | 13% |
就業先の派遣社員との人間関係 | 7% |
その他 | 6% |
平成29年に実施された厚生労働省の調査では「苦情」という項目が設けられ、派遣社員が抱える不満を確認することができます。
人間関係・いじめ・パワーハラスメント | 28.0% |
業務内容 | 27.3% |
賃金 | 17.5% |
就業日・就業時間・休憩時間・時間外労働・休暇 | 10.1% |
指揮命令系統 | 6.1% |
安全・衛生 | 2.3% |
派遣期間 | 1.3% |
セクシャルハラスメント | 0.8% |
個人情報の保護 | 0.6% |
その他 | 4.9% |
上位の項目を見ていくと、派遣社員は特に
に悩みを抱えていることがわかります。
言い換えると、こうした不満の放置が「派遣社員がすぐに辞めてしまう」という結果につながっているのです。
それでは、派遣社員がなぜすぐ辞めてしまうのか、理由を詳しくみていきましょう。
そもそも派遣社員は期間限定で勤務するため、直接雇用の正社員と比較して社内での立場が弱くなりがちです。
など、精神的苦痛を感じて退職に追い込まれてしまうことがあります。
派遣社員は給与形態が直接雇用の場合と異なるため、不公平感を感じてすぐに辞めてしまうケースも多いです。
例えば、
など、派遣社員は将来性が不安定なぶん、待遇面の不満は大きな離職理由になります。
また、早期離職の理由として多いのが、募集要項と実際の業務内容が異なるケースです。
などの理由で、派遣後に「思っていた業務と違った」とすぐに辞めてしまう派遣社員が増えています。
ほかにも、派遣先の環境や雰囲気が悪いこともすぐ辞めてしまう原因のひとつです。
など、安心して働けない職場は派遣社員の定着率も下がってしまいます。
もちろんほとんどのスタッフはまじめに勤務していますが、残念ながら責任感に欠ける派遣社員も一定数存在します。退職の際も派遣元の企業が手続きを行うため、仕事の責任を軽く考えていたり、企業に愛着がないため気軽に離職してしまうのです。
派遣社員がすぐ辞めてしまうことは、企業にとって大きなデメリットです。
こういった悪影響を避けるためにも、まずは派遣社員の定着率が上がるよう、職場環境を整えていく必要があります。
最新の厚生労働省「派遣労働者実態調査(令和4年)」をみると、「派遣先への要望」から不満の溜まりやすい職場の特徴を読み取ることができます。
まず、最も多いのが派遣契約に関する要望です。
派遣契約期間を長くしてほしい | 25.6% |
派遣契約の中途解除を避ける努力をしてほしい | 15.3% |
次に、仕事内容や業務指示についての不安や、労働環境への不満がみられます。
指揮命令系統を明確にしてほしい | 17.8% |
派遣契約外業務を命じないよう管理してほしい | 13.0% |
職場環境(安全・衛生等)を良くしてほしい | 15.0% |
苦情の申し立てに対して迅速に対応してほしい | 13.8% |
職場でのいじめやセクハラの防止について 責任を持って対応してほしい |
12.0% |
また、労働時間などの待遇面の改善を求める声もあがっています。
年次有給休暇を取りやすくしてほしい | 12.6% |
適切な労働時間管理をしてほしい | 10.8% |
福利厚生施設を利用させてほしい | 8.4% |
それぞれ派遣先の企業がどのように改善するべきか、詳しく見ていきましょう。
それでは、厚生労働省の調査で要望の多かった順に、派遣社員の早期退職を防ぐため企業ができる工夫や改善ポイントを確認していきましょう。
1位:派遣契約
2位:業務内容
3位:労働環境
4位:待遇面
まずは、派遣契約期間や業務内容、必要なスキルセットなど、仕事の募集要項を見直すことが大切です。
上記のようなポイントを改善すると求職者がキャリアイメージを描きやすくなるため、入社後の誤解やミスマッチを防ぐことができます。
また、求職者とのマッチングは基本的には派遣会社が行うため、依頼先の派遣会社にも募集内容を明確に伝えておくようにしましょう。
基本的に、派遣社員に契約範囲外の業務を依頼することは契約違反です。
しかし、派遣社員へ指導係が決まっていない場合や、上司や教育係が契約内容を理解していない場合など、契約外の業務を依頼したり矛盾した指示を出してしまうことがあります。
など、長く働いてもらうためにも派遣社員の指揮系統を明確にし、仕事量やスキルに応じてフィードバックができる環境を整えることが大切です。
派遣社員が孤立せず、コミュニケーションをとりやすい職場環境を整えましょう。
などの工夫が有効です。
また、当然ですがセクハラやパワハラなどが絶対に起こらないよう現場へ周知徹底し、派遣社員専用の相談窓口をつくっておくようにしましょう。
派遣社員の満足度を高めるためにも、給与や福利厚生などの待遇面に格差がうまれないよう見直すことが大切です。派遣社員の給与を決定するのは派遣会社なので、2020年に施行された同一労働同一賃金の原則に基づき、昇給やインセンティブの導入を派遣会社と相談してみましょう。
また福利厚生の面でも、有給休暇や福利厚生施設の利用、ワークライフバランスなどを含めて適正な待遇になるよう調整していきましょう。
派遣社員の早期離職への対策として、「正社員型の派遣」を利用する方法があります。
正社員型派遣は、常用型派遣や無期雇用派遣とも呼ばれ、派遣会社に直接雇用された正社員が派遣される就業形態です。
この正社員型派遣であれば派遣期間の制限もなく、給与や待遇も安定しているため、安定して長期的に働いてくれる可能性が高まります。
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