
更新日:2025.05.21
目次
こんにちは。コクー株式会社で企業の業務支援に携わっている大野です。
私は以前、ある企業のIT部門を担当していた際、日々の業務に追われて自分の本来の役割を見失いかけていた経験があります。
新しいシステムの導入はもちろん、毎日のように飛び込んでくる社内からの問い合わせ。PCの初期設定、パスワードの再発行、社内レポートのExcel集計…。
気づけば、戦略的なDX推進などに向き合う時間がまったく取れず、モヤモヤした日々が続いていました。
そんな時に出会ったのが「ITまわりの事務代行」という考え方です。
単なるアウトソーシングではなく、IT知識を持つ事務のプロが、IT部門を横で支えるという新しい選択肢。今回はその全貌を、現場視点でお届けします。
IT部門は今、過去にないほどの業務過多に直面しています。
背景には、企業のデジタル化推進や働き方改革が急速に進む中で、「業務のデジタル基盤を整える責任」が重くのしかかっている現状があります。
これらの業務は、専門知識があまり必要ない“ノンコア業務”ですが、量が多くて手間がかかるため、本来の業務に集中できない最大の要因となっているのです。
「ITまわりの事務代行」とは、IT部門が抱える定型業務や事務作業を、ITリテラシーを持つ外部人材が支援・代行するサービスです。
これまで「事務代行」と聞くと、経理や総務などバックオフィス業務をイメージする方が多かったかもしれません。しかし、企業のデジタル化が進む中で、IT部門における“事務的な業務”の負担が急増しています。
以下のような背景があります。
社内のデジタルインフラ整備やツール導入により、IT部門の守備範囲が急拡大。以前よりも“人手”が求められる状況になっています。
エンジニアやシステム担当者が常に足りていない中、貴重な戦力が定型業務に忙殺されるのは極めて非効率です。
多くの企業がDX戦略に乗り出す中、IT部門には“未来をつくる仕事”が求められています。ノンコア業務に時間を割いている場合ではありません。
こうした課題を解決する手段として、「事務×ITのハイブリッド型支援」が求められるようになったのです。
単なる“入力作業”ではなく、ITスキルが求められる定型タスクの多くをカバー可能です。
つまり、「技術者でなくてもできるけど、事務だけでは回せない」というグレーゾーンの業務に強いのが、この「ITまわりの事務代行」なのです。
比較項目 | 一般的な事務代行 | ITまわりの事務代行 |
---|---|---|
業務領域 | 経理・総務などのバックオフィス | IT部門のノンコア業務 |
必要スキル | 一般事務スキル | Excel上級・ITリテラシー・社内ITツールへの理解 |
価値提供 | 書類作成や経費精算の負担軽減 | IT業務の業務効率化・可視化・属人化の解消 |
導入目的 | 人手不足・定型業務の外注 | IT人材のリソース確保・DX支援への集中 |
これらに当てはまる場合、「事務×IT」を理解するパートナーの導入が、現場を立て直す第一歩になるはずです。
「外注に任せるのは不安」という声もありますが、実際には以下のような工夫でスムーズな導入が可能です。
つまり、「一緒に働く外部メンバー」という感覚で、現場に自然とフィットする形で導入できるのが最大の特長です。
ITまわりの事務代行を導入する最大のメリットは、“IT部門のリソースを本来の戦略業務に集中させられる”ことにあります。
近年のIT部門は、クラウドシステムの選定やセキュリティ対策、DX推進といった「企業の未来を支える業務」が求められるようになっています。
しかし現実には、日々の問い合わせ対応やExcel作業に忙殺され、「手が回らない」「やりたいことがあるのに着手できない」という声が絶えません。
この課題に応えるのが「ITまわりの事務代行」。以下のような多面的なメリットがあります。
定型的で属人化しやすい作業を外部に委ねることで、IT部門は“攻めの業務”に専念できるようになります。
たとえば、PCのセットアップやパスワードのリセット、月次のExcelレポート作成など、作業そのものは単純でも手間がかかる業務を担う人材がいることで、エンジニアや企画職は本来の業務に集中できます。
DX推進、新規システムの選定・導入、サイバーセキュリティの強化など、戦略レベルの判断に時間と労力を割けるようになるのです。
マクロやレポートの仕様が“担当者の頭の中だけ”にある――そんな状態を脱却できます。
事務代行を依頼する際、多くのケースでは業務の「見える化」や「文書化」がセットになります。これにより、
といった副次的効果が生まれ、属人性から脱却した持続可能なIT体制を構築できます。
事務代行のプロが対応にあたることで、処理スピードや正確性が向上し、社内の信頼度もアップします。
とくに以下のようなケースで効果が顕著です。
社内の「IT部門は頼りになる」という印象は、案外こうした裏方業務の丁寧さから生まれるものなのです。
代行スタッフとの契約によって、必要なときに必要な分だけリソースを補える柔軟性が得られます。
固定人員で回すには限界があるシーンでも、外部パートナーをうまく活用することで、
といった変動の激しいIT現場のニーズにも、無理なく対応できる体制をつくることができます。
正社員の採用や残業コストを抑えながら、必要なスキルを持つ人材を確保できます。
たとえば、マクロが使えるExcel人材を正社員で採用すると、採用コストや教育コスト、固定費がかさみます。一方、必要な時にだけ外部から支援を受ければ、
といったメリットも享受でき、経営判断としてもリスクを抑えた選択肢になります。
第三者が業務に関わることで、これまで見えなかった課題が浮き彫りになることがあります。
など、“なんとなく放置されていた業務のほころび”に気づけるのは、客観的な視点を持つ外部人材ならでは。
事務代行は単なるリソース補填ではなく、現場改革の第一歩としても大きな意義があります。
「外部と一緒に働く」ことを前提に業務フローを見直す過程で、情報管理やアクセス権限の整理など、社内のセキュリティ意識が自然と高まる副次効果も期待できます。
とくにIT資産やSaaSアカウントの棚卸しを通じて、シャドーITの撲滅や無駄な契約の見直しにもつながることがあります。
「事務作業の代行」というと、単なる雑務処理の延長に思えるかもしれません。
しかし、ITまわりの事務代行は、現場の“当たり前”に風を吹かせ、
戦略業務に集中できる環境を整えるための“レバレッジ”です。
これを単なる省力化と捉えるか、未来への投資と捉えるか。
選択次第で、IT部門の未来は大きく変わってくるのではないでしょうか。
コクー株式会社が提供する「EXCEL女子」は、まさにこの「ITまわりの事務代行」を実践してきたサービスです。
実際に導入された企業では、毎月2日かかっていたExcel集計が、2時間に短縮されたという事例も。
「人手不足で手が回らないが、正社員を増やす余裕もない」
そんな企業にとって、業務の一部だけでも切り出せるEXCEL女子のような支援は、現実的かつ即効性のある選択肢になり得ます。
IT部門の仕事=システム導入や戦略立案と思われがちですが、現実はそれを妨げる「細かい雑務」との戦いです。
その戦いに“フルコミット”してしまうと、企業のDXは進まず、人も疲弊してしまう。
だからこそ、まずは「事務的なIT業務」を見直し、外部の専門人材と共創する時代が来ているのではないでしょうか。