更新日:2024.06.05
目次
近年働き方改革やリモートワークなどによって、多くの企業で業務効率化の必要性がますます強くなってきています。日々の業務こそ自動化を検討したほうがいいと分かってはいても、どこから手をつけたらよいのか判断できず、初めの一歩をなかなか踏み出せないなど、悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、業務効率化をする上で覚えておきたい考え方や効率化を始める手順、知っておくと役立つツールまで丁寧に紹介していきます。是非参考にしてください。
業務効率化とは「ムダ・ムラ・ムリ」をなくし、より効率的に仕事を進める考え方です。
業務プロセスから「ムダ・ムラ・ムリ」をなくすことで、同じ従業員数でも労働時間数を減らしたり、同じ労働時間でも生産性を上げたりできます。
1つ目は、「ムダ」を排除することです。
業務効率が悪いと感じる点や必要以上に手間がかかる箇所などがあれば、その業務が無駄かどうか、関係する同僚や他部署にヒアリングするなどしましょう。不要な会議が定例化しているなど、無駄をなくせば人的コストを抑えることにつながります。
続いて、「ムラ」を排除することです。
担当者によって完成物の仕上がりが違う場合、それは業務が標準化されていない証拠です。マニュアルを作成したり、作業を自動化したりすることでムラをなくし品質を担保しましょう。
最後に「ムリ」をしないことです。
実践できない無理なスケジュールや能力を超えた計画が増えてしまった場合、体力やモチベーションは長く続きません。業務をアウトソーシングするなど、目的を実現するために現実的な方法を考えるようにしましょう。
この3つの考え方を意識しながら、業務効率化の手順をしっかりと実行していきましょう。
業務効率化と似ている言葉に「生産性向上」があります。
この2つの言葉は、手段と成果のどちらに重きを置くかによって異なります。
業務効率化
成果を出すための手段を効率化すること
生産性向上
成果を最大化すること
ここでは業務効率化によるメリットとデメリットを紹介します。
業務効率化をすることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
残業や休日出勤が減り、業務時間が短くなるなど労働環境が改善されると、社員のワークライフバランスが向上し、満足度向上やモチベーションアップにつながります。
時間や経費などのコスト削減により、生産性が向上すると利益率が増大します。
効率化に伴い余裕ができたリソースを活用し、優先度の高い業務に集中できたり、新規事業をはじめたり、長期的な目線で収益拡大が期待できます。
一方で業務効率化にはデメリットもあります。
例えば、新しいツールを導入する場合、想定以上のコストがかかってしまったり、使い方や新しい工程を覚えるのに時間がかかったりしてしまうなどのデメリットが発生する可能性もあります。
このような点に注意して事前に準備をしておきましょう。
業務効率化を進めていく4つの手順とコツを紹介します。
業務効率化をしていくには、まず現状の業務フローを可視化しておくことが重要です。
可視化しておくことで、どこを改善すれば効率化できるのかを正しく判断できます。現場の担当者へヒアリングを行い、何にどれくらいの工数がかかっているのか、具体的な数字を洗い出しながら現状把握をしましょう。
可視化ができないまま改善を進めてしまうと、既存のフローを簡略化したり、ツール導入で一部のみ最適化したりなど、既存のやり方に囚われた業務改善になってしまい、業務フロー全体の改善につながりません。
既存のフロー全体の中でどこにムダ・ムラ・ムリが潜んでいるかを特定することがポイントです。
次に業務改善していく優先順位を決めます。
すべてを並行して進めてしまうと、中途半端になってしまいがちなのです。他の業務効率化にもつながる影響範囲の大きい業務からはじめるのか、効率化が簡単な業務からはじめるのか、目的に沿って順番を決めましょう。
優先順位を決めることで、スムーズに業務効率化を進めることが可能です。
優先順位が決まったら、どのような方法で業務効率化を進めていくのか決めます。アウトソーシングを活用する、ツールを導入するなど方法はさまざまです。
最適な方法を検討するにあたり、「ECRS(イクルス)の法則」の考え方がヒントになります。
ECRSの法則とは、4つの単語の頭文字をとってできた言葉で、業務効率化のための代表的な手法です。
優先順位の高い項目からECRSの法則を使用して、自動化や作業の簡略化できそうな箇所を特定し業務改善の方法を検討しましょう。
ECRSの法則について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
参考:「ECRS(イクルス)の法則」で最適化!
最後に必ず効果検証を実施しましょう。
業務効率化を進めていたつもりでも、結果改善につながらなかったり、定着しなかったりすることがあります。一度業務効率化を行ったら終わりではなく、分析を繰り返していくことが大切です。
ここでは業務効率化につながる手法やアイデアを紹介します。
費用や時間をかけず簡単に実践できる施策が、無駄な業務の削減で最も効果的な手法です。このとき完全にやめるのではなく、段階的に減らしていくのも効果的です。
例えば、あまり活用されない資料や報告書作成には時間をかけない、作成しないといった方法があげられます。
注意点としては、「実は必要な業務だった」というような認識の違いが起きる可能性があることです。業務の削減を進めるときは、事前に関係者と話し合いを行いましょう。
業務効率化を進めるためには「業務の標準化」は重要です。
標準化するには、マニュアルの作成が有効です。マニュアル化することで、誰が業務を担当しても正確に進められるだけでなく、業務内容や進め方が明確になります。
マニュアルを作成する際は、誰が見ても理解できるようわかりやすくまとめることが重要になるので、必要に応じて図や表も活用しましょう。
また、同じ形式の文書などを作成している場合はテンプレートを作成しておきましょう。変更が必要な箇所のみの記入や更新だけで文書作成ができ、作業時間が短縮されます。既にマニュアルがある場合も定期的に見返し、必要に応じて更新しましょう。
業務フローチャートの作成・更新も業務効率化に有効です。
フローチャートがあることで、業務全体の流れを把握できるだけでなく、他の業務との関連性や影響を適切に理解できます。また、作成したフローチャートを定期的に見直すことで、無駄な作業がないか確認できます。
会議時間を短くすることで参加者の負担が減り、他の業務に時間を割くことができ、業務効率化につながります。
会議時間を短縮するには以下のような方法が考えられます。
改めて、長時間行われがちな会議に無駄はないか考えてみましょう。
アウトソーシングとは、業務を外部の企業などに発注することです。
専門性の高い業務から、社内でルーティン化されている定型業務まで、内容に応じて依頼先を決めましょう。アウトソーシングを活用することで、人件費の削減が見込めるうえ、コア業務に集中できます。
アウトソーシングに関して、こちらの記事もご覧ください。
ナレッジとは業務に役立つ知識のことで、共有することで社員のスキル向上に役立ちます。
担当していたからこそわかるナレッジを共有することで、属人化防止になり、業務効率化につながります。今までナレッジを蓄積していない場合は、まずは文書を残して共有するようにしましょう。
業務の状況に応じて、担当者を変更するのもひとつの手法です。
社員一人ひとりの得意分野やスキルを把握して最適な配置にすることで、作業が滞らずに進むので、業務効率化につながります。また、配置が変わることでコミュニケーションの活性化も期待できます。
ここでは業務効率化に役立つツールを紹介します。
ITツールの活用により、業務プロセスの一部が自動化されたり、手順の抜け漏れがなくなったりするなど、大きな効果が期待できます。
しかし、業務プロセスは日々進化していくため、継続的な改善や導入後の運用管理の体制などはしっかりとルール決めしておきましょう。
クラウドサービスとは、ネットを通してユーザーにサービスを提供する仕組みのことです。
インターネットに接続できればどこからでもアクセス可能なため、在宅勤務でも会社にいるときと同様に作業ができます。メールを使用したファイル共有に比べ、大容量のデータを簡単かつ安全に共有することが可能です。
リモートワークが増えたことで、社員同士のコミュニケーションが不足しがちですが、ビジネスチャットツールを活用することで、円滑なコミュニケーションが取れるようになります。
やりとりを文として残しておけるので、必要に応じて確認することができます。また、関係者が同じグループに参加することで、迅速な情報共有も可能です。
タスク管理ツールとは、プロジェクトの進捗やメンバー作業状況、個人のTODOなど、プロジェクトの状況を把握するための機能を兼ね備えたツールです。
それぞれのタスクや進捗状況を見える化することで、プロジェクトをスムーズに管理することができます。
営業の場合、営業管理ツール(SFA)や顧客管理ツール(CRM)を導入することがおすすめです。
SFAとはセールス・フォース・オートメーションの略で、CRMとはカスタマー・リレーションシップ・マネジメントの略になります。
データを入力するとグラフを作ってくれたり、分析を行ってくれたりするため、営業支援や顧客管理が効率的に行えます。
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、定型的な事務処理を自動化してくれます。自動化することで正確かつスピーディーに対応できます。
例えば、WEB上からデータを取得し、レポートを作成するなど繰り返しの多い作業や別システムのデータの突合も可能です。
ここからは、Excel(エクセル)を活用した業務効率化について紹介します。
Excelは使用頻度の高いツールであり、ショートカットキーや関数を駆使することでスムーズに業務を遂行できます。
利用頻度の高いショートカットキーを紹介します。
F2 | 編集モードにする |
F4 | 相対参照・絶対参照・複合参照の組み合わせを切り替える |
F12 | 名前を付けて保存 |
Ctrl+S | 上書き保存 |
Ctrl+Z | 直前の作業を1つ元に戻す |
Ctrl+C | 選択したセルをコピー |
Ctrl+V | コピーしたセルの内容を任意のセルに貼り付け |
Ctrl+X | 選択したセルを切り取り |
Ctrl+Alt+V | 形式を選択して貼り付け |
Ctrl+1 | セルの書式設定ダイアログボックスを表示 |
Ctrl+Shift+L | フィルターを設定する・解除する |
Ctrl+P |
印刷プレビュー画面を開く |
Ctrl+カーソルキー | 連続データの末尾に移動する |
Ctrl+Shift+カーソルキー | 連続データの末尾まで選択する |
Ctrl+W | アクティブブックを閉じる |
Excelで使えるショートカットキーに関して、こちらの記事もご覧ください。
参考:時短のためのExcel(エクセル)ショートカットキー15選
Excelだけではできないことも、他のツールと連携することにより効率化の幅が広がり、時間や人的コストやミスの削減につながります。
複数のファイルを参照しながらレポートや資料をまとめる作業や、大量のデータ集計や分析をしたいときはoffice製品同士を連携させた処理の自動化が可能です。
作業を効率化させつつ、手作業で起こるミスを防ぐこともできます。
Excel VBAを利用してOutlookと連携すれば、同一内容のメールを、宛先だけかえて複数人に一斉送信するような自動化ができます。
年末年始や月次や四半期ごとの定期連絡などに設定しておくと良いでしょう。
VBAで請求業務を自動化するには、こちらをご覧ください。
参考:請求業務を自動化!Excel(エクセル)やVBAで効率化するポイントや流れを解説
今回は、業務効率化をしたいがまだ一歩を踏み出せないという方に、効率化を始める上での考え方から手順、知っておくと役立つツールまでをご紹介しました。
この手順をさっそく自社案件と結び付けて、今すぐ効率化を検討していきましょう。
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